[2021_05_20_02]浜岡原発停止10年 脱“原発依存”進む地元【現場から、】(TBSNEWS2021年5月20日)
 
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浜岡原発停止10年 脱“原発依存”進む地元【現場から、】

 シリーズ「現場から、」。福島原発の事故を受け、静岡県にある浜岡原発が運転を停止してから10年が経ちました。再稼働の見通しが立たないなか、原発に頼ってきた地元の意識は変わろうとしています。
 10年前、政府の要請を受け、運転を停止した浜岡原発。再稼働を目指して安全対策工事が続けられています。
 「浜岡原子力発電所の全ての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請しました」(菅直人首相〔当時〕)
 浜岡原発は当時の菅直人総理の一言で停止に追い込まれました。
 「これは何m?」(海江田万里経済産業相〔当時〕)
 「ここで大体14〜15mですね」
 当時の海江田万里経済産業大臣が浜岡原発を視察し、総理に助言しました。
 「当時はまだ防潮堤などなかった。もし波が来たら砂丘を一直線に駆け上がるんじゃないかと」(海江田万里元経済産業相)
 「結果として止まったことは良かったし、現在まで止まっていることも良かったというか、いいことだと思っている」(菅直人元首相)
 その後、浜岡原発には海抜22メートルの防波壁がそびえたちました。中部電力が対策に費やした金額は4000億円にも上ります。
 原発の地元・御前崎市。この10年で豊かな財政に陰りが見えてきました。
 「令和3年度の当初予算は大変厳しい財政状況の中での編成となり、前年対比マイナス18.8%の減額予算となりました」(柳澤重夫 御前崎市長〔今年3月〕)
 国の原発交付金はほぼ変わっていません。ただ、新たな原子炉の建設計画がストップした一方で、古い施設の減価償却が進み、固定資産税が年々減っているのです。若者の流出も止まらず、人口は10年前と比べ4000人減りました。街には、かつての活気がありません。原発だけに頼らない街づくりを目指すにはどうしたらよいのか。市民が動き出しました。
 「御前崎のおいしくて有名な夢咲牛の革で作られた革製品です」(御前崎レザー夢咲協議会 川口正洋会長)
 地元のブランド牛の革を有効活用しようという商工会などが立ち上げたプロジェクトです。
 「上質な肉ということで、かなり柔らかい革質。御前崎ならではの商品の開発をしていきたい」(御前崎レザー夢咲協議会 川口正洋会長)
 まずは、観光客向けのクラフト教室や土産物の開発を進め、最終的には、若者の雇用を生み出したいと夢は膨らみます。
 「中部電力の停止、コロナもあってかなり疲弊してきた。一つの産業をつくり上げて、御前崎を活性化させたい」(御前崎レザー夢咲協議会 川口正洋会長)
 原発停止から10年。いまだ再稼働の見通しが立たず、市の財政が厳しいなか、市民の意識には少しずつ変化が見え始めています。(19日07:55)
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