[2021_05_16_01]浜岡原発「経済優位性なし」龍谷大・大島教授試算 発電コスト、国提示上回る(静岡新聞2021年5月16日)
 
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浜岡原発「経済優位性なし」龍谷大・大島教授試算 発電コスト、国提示上回る

 中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)3〜5号機の発電コストが、仮に今すぐ再稼働したとしても現時点で1キロワット時当たり21・0〜12・1円になり、国が2015年に原発の発電コストとして示した10・1円を上回るとの試算を、15日までに県原子力経済性検証専門部会委員で龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)がまとめた。大島教授は「既に経済性を失っている」と指摘している。
 東京電力福島第1原発事故から10年に合わせ、有識者の有志らが浜岡原発に生かすべき教訓をまとめた報告書「人権の視点で考える震災」(県人権・地域改善推進会発行)の中で示した。報告書は近く公表される。
 事故後、原発の運転期間は「原則40年、最長で延長20年」とのルールが定められた。試算は15年に国の発電コスト検証ワーキンググループが用いた計算方法に基づく。安全対策工事費や維持費など11年度以降に要した費用と、40年ルールを適用した際の発電電力量を比較した。その結果、3号機21・0円、4号機14・3円、5号機12・1円となった。
 再稼働の時期が遅れるほど発電コストは上昇する。仮に3年後に3〜5号機が再稼働した場合は53・8〜13・9円に。直ちに再稼働し、さらに運転期間を20年延長しても12・7〜11・1円だった。
 3、4号機は国の適合性審査中だが、「合格」の見通しは立っていない。5号機はまだ申請前の段階だ。大島教授は「楽観的な想定をしても、経済的にみて原発事業を行う十分な意味を見いだせない」と分析する。
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