[2021_12_05_10]玄海原発事故に備え訓練 住民避難の流れ確認 長崎県と4市(長崎新聞2021年12月5日)
 
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玄海原発事故に備え訓練 住民避難の流れ確認 長崎県と4市

 長崎県は4日、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)での災害発生を想定した原子力防災訓練を実施した。原発から30キロ圏内の松浦、佐世保、平戸、壱岐4市や関係機関と、災害対策本部の設置運営や迅速な情報共有・伝達、新型コロナウイルス感染症に対応した住民避難の流れなどを確認した。
 感染症が拡大する中、佐賀県を震源とする地震が発生。玄海原発4号機の炉心を冷却する全ての機能が止まり、全面緊急事態となった−と想定した。
 県は午前7時に災害対策本部を設置。九州電力の通報を受け、国とテレビ会議で情報を共有した。4市とのテレビ会議では各地の状況を確認。災害対策本部長の中村法道知事は「住民の安全確保を最優先に、迅速に避難できるよう、正確な周知広報を」と指示した。
 県内で玄海原発に最も近い松浦市鷹島町では、円滑な避難につなげるため、鷹島保育園(坂本富実代園長)で園児を保護者に引き渡す訓練に初めて取り組んだ。午前8時、市から引き渡しの指示を受けた園が保護者に一斉メールで連絡。保育士が、迎えに来た保護者を身元確認シートでチェックしながら引き渡した。
 夫婦で漁業を営む伊積しぶきさんは漁に出て連絡が取れないとの想定で、40分後に電話連絡を受けてから志皇ちゃん(6)を迎えに。「夫婦で仕事に出るときは祖母や親類に迎えを頼んでいる。手順が分かったので、誰が迎えに行くか決めておきたい」と話した。別の保護者からは「メールは見ないことがある。電話連絡がいい」との声も聞かれた。
 壱岐市芦辺町の諸津漁港などでは小型ボートに住民を乗せ、沖合に待機する海自の艦船に運んで島外に避難させる広域避難訓練を実施。同市勝本町の避難所は、感染症対策で発熱などがある住民の入り口や部屋を別に設置した。
 防災訓練は2002年度から実施。例年、佐賀、福岡両県と合同だが、今回は日程が合わず単独開催した。新型コロナの影響で規模縮小し、住民270人を含む900人が参加した。
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