[2020_01_25_05]敦賀の建設会社、前玄海町長にも接触「仕事ほしかったのでは」 100万円受領問題(毎日新聞2020年1月25日)
 
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敦賀の建設会社、前玄海町長にも接触「仕事ほしかったのでは」 100万円受領問題

 九州電力玄海原発が立地する玄海町の脇山伸太郎町長が福井県敦賀市の建設会社「塩浜工業」から現金100万円を受け取っていた問題で、同社が前町長の岸本英雄氏の在職中にも接触していたことが判明した。岸本氏は「金品の提示はなく便宜は図っていない。地元(敦賀)の仕事が取れなくなり、他の原発にも手を広げようとしたのではないか」と語った。【関東晋慈、池田美欧、竹林静】
 岸本氏は毎日新聞の取材に対し、任期3期目に入った2014年末から同社関係者が年末年始のあいさつとして数回訪問してきたと説明した。当時、玄海原発ではテロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の工期が議論され、岸本氏は「依頼内容は覚えていないが、工事を急ぐ九電から仕事を得たかったのではないか」と推測した。
 玄海町幹部は「塩浜工業の名前は聞いたことがなく訪問は知らなかった」と話し、塩浜工業側は役場を通さず直接、岸本氏に接触していた可能性がある。
 岸本氏は脇山氏が同社から現金を渡されたことについて「建設会社出身の私と違い、脇山町長には近づきやすいと考えたのではないか」と述べ、脇山氏の対応については「すぐに送り返すべきで軽率な対応だった」と指摘した。

 ◇川内原発の関連工事下請けも

 一方、塩浜工業が大手ゼネコンの下請けとして、九州電力川内原発(鹿児島県)で実施されている関連工事に現在、従事していることも九電への取材で分かった。
 九電によると、塩浜工業に原発関連工事を直接発注した実績は確認されていないが、現在川内原発で実施されている「特定重大事故等対処施設」の関連工事を元請けを通じて受注しているという。
 また、玄海原発でも、1994年に運転を開始した3号機と97年に運転を開始した4号機の建設工事に、塩浜工業が大手ゼネコンの下請けとして従事していたという。
 九電は23日、原発の所長や原子力などの部門の責任者計19人に聞き取り調査を実施。塩浜工業から金品を受け取ったか▽脇山町長から塩浜工業に玄海原発の関連工事で便宜を図るよう要請を受けたことがあったか▽関連工事に塩浜工業を参加させるよう元請け会社に働きかけをしていないか――の3点を調査し、全員から「そういう事実はない」と確認したとしている。
 佐賀県入札・検査センターによると、塩浜工業に県の入札参加資格があった2013年度以降、同社への県発注工事は確認されなかった。玄海町も「塩浜工業が元請けとなった工事の契約はない」とした上で、担当者は「下請けや孫請けなども含めて全てを把握しきれないが、現段階では確認されていない」と話した。
 県警の松吉昭典刑事部長は24日の定例記者会見で「個別事案の捜査については(捜査を)しているか否かを含めて回答は差し控える。刑罰法令に触れる行為があれば法と証拠に基づいて適切に対処していく」と述べた。
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