[2023_09_27_01]『東京電力の変節』〜東電はなぜ被害者に対して攻撃的になったのか 書籍紹介…後藤秀典著 深く結びついた電力会社、政府、最高裁判所、巨大法律事務所の人脈 上岡直見(環境経済研究所代表)(たんぽぽ2023年9月27日)
 
参照元
『東京電力の変節』〜東電はなぜ被害者に対して攻撃的になったのか 書籍紹介…後藤秀典著 深く結びついた電力会社、政府、最高裁判所、巨大法律事務所の人脈 上岡直見(環境経済研究所代表)

 
◎ 福島第一原発事故に関して国の責任を問う4訴訟(千葉・群馬・なりわい・愛媛)に対して、2022年6月に「国に責任はない」とする最高裁判断が示された。
 この判決に関してジャーナリストの後藤秀典氏が、綿密な取材に基づいて「国に責任はない 原発国賠訴訟・最高裁判決は誰がつくったか」という記事を月刊『経済』2023年5月号で発表した。

◎ 政府・司法・企業とそれを結びつける巨大法律事務所の密接な関係を明らかにした記事として大きな反響があり、弁護士など法律の専門家でも「こんなことになっているとは知らなかった」と驚かれたという。
 その記事を中心として、後藤氏が取材を続けてきた多くの原発訴訟や被害者に対する補償の状況などをまとめて本として出版された。

◎ 後藤氏によると、2020年頃までは少なくとも表向きは低姿勢だった東電が、ある時期から被災者に対する攻撃的な姿勢に転換したと指摘している。それは政府の原発推進政策と連動している。
 著書では、東電社員として賠償業務に従事していた人(匿名)への取材も紹介している。会社からマニュアルが渡され、被災者があきらめるように誘導する指示が出ていた。担当者は名刺を持つことを禁止され、家族にも何をしているか話さないように箝口(かんこう)令が敷かれていたという。賠償額を切り捨て、抑えるのが管理職の仕事となっていた。

◎ 訴訟では、東電側の代理人が被災者に対して「事故とは関係ない経済的な動機で自発的に転居したのだから、補償の対象にならない」と攻撃した。
 これを聞いて、どこかで聞いたことがある話と気づいたのは戦時中の従軍慰安婦である。この問題ではいまだに「慰安婦は経済的動機で参加したのだから被害者ではない」と詭弁を繰り返す者がいる。
 これを考えると福島第一原発事故はやはり国家犯罪の性格を帯びている。

後藤秀典『東京電力の変節 最高裁・司法エリートとの癒着と原発被害者攻撃』
旬報社 後藤秀典著 192頁 1,650円(税込)
https://www.junposha.com/book/b632266.html

以下、旬報社HPより抜粋

「心から謝罪いたします」−その言葉の裏で頻発する避難者攻撃!東電はなぜ攻撃戦術をとるようになったのか?深く結びついた電力会社、政府、最高裁判所、そして巨大法律事務所の人脈を明らかにする!

 原発回帰へと大きな政策転換を図りつつある日本のエネルギー政策。
 福島で原発事故を起こした東京電力は、当初の原発被災者への謝罪の姿勢から、損害賠償支払いを拒否。払い過ぎなどと被災者攻撃へと姿勢を変えた。
 最高裁は、国が対策をとらせたとしても事故を回避できなかったとして、国の責任を認めない判決を出している。
 これらの背景には、密接な人事交流を行っている最高裁判事、司法エリートと国、東京電力の癒着関係があることを明らかにする!
KEY_WORD:岸田首相_次世代-原発_検討指示_:FUKU1_: