[2022_02_03_04]抗議書兼質問書(原自連(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)2022年2月3日)
 
参照元
抗議書兼質問書


2022 年 2 月 3 日
環境大臣山口壯殿
抗議書兼質問書

原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟
会 長 吉原 毅
幹事長 河合 弘之
幹 事 近江屋 信広
事務局次長 木村 結
本年 1 月 27 日、欧州委員会議長に宛てた 5 人の元首相の書簡「脱炭素・脱原発は可能ですーEU タクソノミーから原発の除外をー」に対して環境大臣山口壯殿から抗議が届きましたので、5 人の元首相の意見をとりまとめ、事務局を務める原自連から反論しかつ質問いたします。
「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しみ」が誤った記載であると書かれていますが、これは真実です。福島原発事故前は、年間 100 万人に一人か二人の発病しかなかった小児甲状腺がんですが、事故から 10 年で、事故当時福島県内で18 歳以下だった 38 万人の中で既に 266 名の発症が判明しています。その内 222名が甲状腺摘出手術を受けています。これは、大臣が根拠とされている福島県の県民健康調査委員会で判明した数字です。
しかも、手術後症状が悪化し、再手術を受けた者、他の部位に転移した者、苛酷な放射線治療を受けた者が多くいます。まさに彼らは苦しんでいます。それでも環境大臣として「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しみ」という事実を否定しますか。これに対するお答えとその理由を回答下さい(質問@)。
次に貴殿は「福島県の子どもに放射線による健康被害が生じているという誤った情報」云々と述べ、前記のとおり大量に発生している小児甲状腺がんと東京電力福島第一原発事故により放出された放射線との因果関係を否定しています。
しかし、福島原発事故の前と後とでは小児甲状腺がんの発症率は 70 倍となっています(事故前は年間に 100 万人に 1 人、事故後は 10 年間で 38 万人に 266人として計算すると(266 人÷38 万人÷10 年)÷(1 人÷100 万人)=0.00007÷0.000001=70 倍)
このような桁違いの発症率を常識もしくは良識で判断すれば、福島原発事故との「因果関係あり」と考えざるを得ません。そうでないと主張する者は福島原発事故による放射線被ばくではない別の原因を主張・立証しなければなりません。政府も東電も県もそのような主張立証を全くしていません。「現時点では因果関係が考えにくい」というばかりです。
福島原発事故はレベル7であり、大量の放射性物質を環境に放出したことは事実であり、甲状腺がんについては放射線被ばくが原因の第一であることは世界の常識となっています。
そこで質問です。266 人の小児甲状腺がんの原因が福島原発事故由来の放射線被ばくでないとするならば、環境省は 266 人の小児甲状腺がんの原因はなんであると主張・立証されますか(質問A)。266 人も小児甲状腺がんが発生しているのにその原因の究明もせず、ただ福島原発事故由来でないと言うだけというのは国民の健康に責任を持つべき環境省及び政府としては余りに無責任です。政府はこの 11 年間福島県等に多発している小児甲状腺がんと福島原発事故との因果関係を否定もしくはあいまいにすることのみに急であり、真剣に実態把握及び原因調査をしていません。正確な実態調査と原因調査をしてこそ正しい救済政策と国民健康対策が構築できるのです。真剣に実態を把握し、原因調査をしないのはそれをすると小児甲状腺がんと原発事故との因果関係を認めざるを得なくなり、原発再稼働、存続に障害となると恐れているからではないかと私達は疑っています。もしそうだとすると、「初めから結論ありき」ということになります。それでは国民のための政治、行政ということにはなりません。

環境省設置法3条には任務として「原子力利用における安全の確保」と明記されています。環境省としては、国民の視点に立ち「安全の確保」としてチェルノブイリ事故の経験から認められた因果関係を重視し、率先して被害者救済に当たる義務があります。
環境省のホームページを見ると、重要なお知らせとして3つが掲げられています。
@環境省における災害対応 A東日本大震災からの環境再生 そしてB放射性物質対策(放射性物質汚染対処特措法・除染・モニタリング等について)と記載され、福島原発事故による放射性物質から国民を守るための対策をしている省庁です。
放射性物質による実害(特に健康被害)から福島県民等国民を守るのが職責であるはずの環境省の大臣が健康被害を棚に上げて風評被害や差別や偏見にことさらに言及することに強い違和感をおぼえます。環境省は経済産業省と職責が違うはずです。
1月27日には小児甲状腺がんに罹り、摘出手術を受けた若者たち6名が、東京電力を相手取り訴訟を起こしました。原自連はこの勇気ある若者たちを応援するメッセージを発表する予定です。国の政策や私企業の違法行為によって病になった若者たちの未来を阻む実害を排し、差別や偏見から守るのが私たち大人の責任です。決して差別や偏見があるからと実害を「風評被害」と言い変えたり、現実に蓋をしたりすることがあってはなりません。
以上のとおり強く抗議すると共に質問します。上記質問@、Aに2月10日まで
にお答え下さい。回答の有無及び内容は公開することと致します。
以上
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