[2022_02_10_04]3.11の教訓を未来に 復興庁発足10年 「評価と課題」集約へ(毎日新聞2022年2月10日)
 
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3.11の教訓を未来に 復興庁発足10年 「評価と課題」集約へ

 2011年3月11日の東日本大震災からの復興に向け、政府の司令塔として設置された復興庁は10日、発足から10年を迎える。当初21年3月までとされた設置期限は10年間延長されており、これまでの教訓を、今後に起こる可能性がある災害の復興にどのように生かすのかという点も課題となっている。
 12年2月10日に発足し、一時は各省庁からの出向者などで650人に膨らんだ職員数は、今年度は440人体制となった。津波・地震被災地のハード整備はほぼ完了し、21年4月には岩手復興局を盛岡市から釜石市、宮城復興局を仙台市から石巻市に移し、いずれも人員を縮小した。
 復興予算の使い道も、東京電力福島第1原発事故の被害が残る福島県沿岸部の事業が中心となっている。政府は8日には福島復興再生特別措置法改正案を閣議決定し、新産業を創出するための研究開発の基本計画を策定し、新たに設立する「福島国際研究教育機構」が中核的な役割を担うと定めた。
 一方で、21年4月には、大震災の復興事業で得た教訓や反省を、今後発生が想定される南海トラフ巨大地震や首都直下地震といった大災害の際に生かすために「復興知見班」を新設。担当参事官以下7人体制で内閣府の防災部門とも連携する。
 大震災を経験した自治体や民間企業などの現場の取り組みをまとめた「教訓・ノウハウ集」(21年3月作成)を全国の都道府県に配布し、災害対応のためにどのような情報を知りたいかアンケートを実施した。心のケアや住宅再建などをテーマに厚生労働省や国土交通省の担当者らから当時の対応やその後の制度改正について聞き取りを行っており、こうした内容も盛り込んで、大震災の教訓を広く活用できるよう22年度中にポータルサイト開設を予定している。
 22年度には、政府としてどのように復興に取り組んだのか、関係省庁から関係資料を取り寄せたり有識者の評価を受けたりして取りまとめる作業を始める。各被災者が生活やなりわいをどうやって再建していったのかを記録するため、資料の収集作業にも着手する方針だ。
 西銘恒三郎復興相は8日の閣議後の記者会見で「震災の風化防止と教訓継承のためには発生から10年が経過したタイミングでこれまでの復興政策を振り返り、評価と課題を取りまとめておくことが重要だ」と話した。【関谷俊介】
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