[2022_01_28_04]スウェーデンが「核のゴミ」最終処分場の建設計画を承認…世界2例目(読売新聞2022年1月28日)
 
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スウェーデンが「核のゴミ」最終処分場の建設計画を承認…世界2例目

 スウェーデン政府は27日、原子力発電所から出る「核のゴミ」の最終処分場の建設計画を承認したと発表した。世界では、フィンランドに続く2例目となる見通しだ。一方、日本では北海道の2町村で立地調査の第1段階となる「文献調査」が進んでいるが、建設のめどは立っていない。
 スウェーデンの建設予定地は、首都ストックホルムの北約120キロ・メートルにある。使用済み核燃料を専用の容器に入れて、地下500メートルで保存する。2030年代の稼働を目指す。フィンランドでは、25年までに世界初となる最終処分場が稼働する見通しだ。
 スウェーデンのアニカ・ストランドハル気候・環境相は声明で、「(最終処分場建設の)決断をせずに、廃棄物をタンクにため続けるのは無責任。電力供給を支える長期的な条件でもある」と述べた。
 日本は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する「核燃料サイクル」の実現を目指しており、この過程で出る高レベル放射性廃棄物の最終処分が課題になっている。
 処分場の調査は3段階にわたる。近くに火山や活断層がないか過去の記録から調べる「文献調査」、掘削して地質などを調べる「概要調査」を経て、地下に施設を作り地盤の安定性などを調べる「精密調査」に進む。原子力発電環境整備機構(NUMO)が事業主体となり、作業を実施している。
 2007年には、高知県東洋町が全国で初めて調査に応募したが、開始前に住民の反対で撤回に追い込まれた。その後、20年に北海道 寿都 町と 神恵内 村が名乗りを上げ、初めての文献調査が進んでいる。今年11月頃に終了する見通しだが、その後の二つの調査に18年程度かかり、仮に処分地として決定しても施設の建設には10年程度かかるとされている。
 最終処分場がなければ核燃料サイクルを実現できず、使用済み核燃料が行き場を失う。既に全国の原発では、敷地内で貯蔵できる使用済み核燃料が容量の約8割に達している。放置すれば、運転を中止せざるを得ない原発が出る可能性もある。
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