[2023_01_14_01]「断固反対」「やっと盛り上がってきたのに」…処理水の海洋放出方針に漁業関係者から怒りやあきらめの声(東京新聞2023年1月14日)
 
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「断固反対」「やっと盛り上がってきたのに」…処理水の海洋放出方針に漁業関係者から怒りやあきらめの声

 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出を巡り、政府が「今春から夏ごろ」の放出開始を見込む方針を示した13日、福島県や周辺の漁業関係者らは怒りやあきらめの声を上げた。
 同日午後、福島第一原発の約6キロ北にある請戸漁港(福島県浪江町)は、既に水揚げが終わり閑散としていたが、数人の漁師が漁網や船の整備をしていた。
 シラス漁を始めた若手の漁師は「おれがほえたところで、政府は強制的に処理水を流すんでしょ」とあきらめ顔。「でも、やはり風評被害が出るのは怖い」とこぼした。
 福島県では、原発事故後から続いた漁を限定する試験操業が、2021年3月に終わった。漁獲量は事故前の5分の1ほどだが、徐々に回復している。請戸漁港にあがる魚を中心に扱う南相馬市の鮮魚店の男性店主は「やっと盛り上がってきたのに、もしも放出で魚に影響が出たら終わりじゃないか」と憤った。

 ◆政府と東電に「これまでうそばかり…約束守って」

 漁業者の願いはあくまでも漁業の継続だ。福島県漁連の野崎哲会長は国や東電に「後継者をつなぐために(福島で漁業を)続けたい」「海洋放出を了解することはできない」と訴えてきた。県漁連は政府から連絡がなく、正式なコメントはできないとした上で、担当者が「断固反対の姿勢は変わらない」と強調した。
 「海洋放出はやめてほしい。ただ落胆するばかりだ」と話すのは、茨城県ひたちなか市の那珂湊漁港を拠点に底引き網漁を営む根本経子さん(66)。関係者の理解なしに海洋放出はしないとする政府と東電の約束を念頭に、「これまでうそばかりつかれているので信用はできないが、約束は守って」と注文した。
 宮城県漁連の担当者も「海洋放出に反対」と明言。処理水を巡る政府の情報発信についても「消費者の安心につながっているかは疑問だ」と話した。(山川剛史、片山夏子、増井のぞみ、長崎高大)
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