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[2025_01_16_05]南海トラフ巨大地震 30年以内発生確率「80%程度」に引き上げ(NHK2025年1月16日) | ![]() |
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参照元
08:53 政府の地震調査委員会は南海トラフの巨大地震が今後30年以内に起きる確率について、1月1日時点で改めて計算し、これまでの「70%から80%」を「80%程度」に引き上げ、公表しました。 今月13日に発生した日向灘の地震は影響しておらず、過去の巨大地震から時間が経過しているためだとして備えを進めるよう求めています。 今後30年以内の発生確率「70%から80%」→「80%程度」に 政府の地震調査委員会は日本周辺の海底や全国の活断層で想定される地震の発生確率について、毎年、1月1日の時点で計算し、公表しています。 このうち、南海トラフで想定されるマグニチュード8から9の巨大地震は、今後30年以内に発生する確率がこれまでの「70%から80%」を「80%程度」に引き上げました。 今月13日や、去年8月に日向灘で起きた地震は今回の確率には影響しておらず、想定している巨大地震が起きないかぎり、時間の経過とともに確率が上がるとしています。 30年以内に発生する確率については、南海トラフとして確率の算出を始めた2013年は「60%から70%」でその後、2014年に「70%程度」、2018年に「70%から80%」に引き上げられていました。 地震調査委員会 平田直委員長 「数字を丸めて表現すると70〜80%が80%になったので、確率が10%上がったわけではない。一方で、いつ地震が起きても不思議はない数字であることには変わらない。引き続きいつ地震が来ても良いよう備えていただきたい」 「千島海溝」「日本海溝」沿いの大地震の発生確率も公表 また政府の地震調査委員会は、北海道の沖合にある「千島海溝」と東北から関東の沖合にかけての「日本海溝」沿いで起きる大地震の発生確率について、1月1日時点で改めて計算し、結果を公表しました。 マグニチュード8.0から8.6程度の十勝沖地震は、今後30年以内に起きる確率が「20%程度」と、これまでの「10%程度」から引き上げられました。 【千島海溝沿い】今後30年以内の発生確率は 千島海溝沿いの大地震や巨大地震の今後30年以内の発生確率です。 ▽マグニチュード8.8程度以上の巨大地震は、これまでと変わらず「7%から40%」 ▽マグニチュード8.0から8.6程度の十勝沖地震は「20%程度」と、これまでの「10%程度」から上昇 ▽マグニチュード7.8から8.5程度の根室沖地震は「80%程度」 【日本海溝沿い】今後30年以内の発生確率は 日本海溝沿いの大地震や巨大地震の今後30年以内の発生確率です。 ▽東日本大震災を引き起こした巨大地震と同じ、マグニチュード9程度の巨大地震は「ほぼ0%」 ▽マグニチュード7.9程度の青森県東方沖および岩手県沖北部は「20%から40%」で、これまでの「10%から30%」から引き上げ ▽マグニチュード7.4前後のいわゆる宮城県沖地震は「80%から90%」で、これまでの「70%から90%」より上昇 地震調査委員会の平田直委員長は「南海トラフだけではなく日本海溝・千島海溝でも過去に繰り返し地震が起きていて、確率が少しずつ高くなっている。こうした地域でも、強い揺れや高い津波が来ることについて十分備えを進めて欲しい」と話しています。 専門家「時間の経過で次の地震に近づいているのは間違いない」 京都大学防災研究所 西村卓也教授(地震や地殻変動のメカニズムに詳しい) 「今回上がったから『すごく危なくなった』ということではなく、地震の予測に不確定性がある中での1つの数字として捉えるのがいいと思う。南海トラフ地震は過去に繰り返し起きていて、時間の経過とともに次の地震の発生日に近づいているのは間違いない。確率に一喜一憂せず、次の地震に対する備えを強化してわれわれの防災意識を高めていくことが重要だ」 地震発生の切迫度「Sランク」の活断層帯は全国で32 政府は内陸で地震を引き起こす活断層の最新の評価を公表しました。 地震が起きる切迫度が30年前の阪神・淡路大震災の直前と同程度か、上回る活断層帯は全国に32あり、専門家は住宅の耐震化や家具の固定などの対策を着実に進める必要があるとしています。 兵庫県南部を震源とするマグニチュード7.3の大地震を受けて、政府は地震調査研究推進本部を設置し、全国の活断層帯のうち▽長さがおおむね20キロを超え▽地震が起きると社会的に大きな影響が出る活断層帯を重点的に調べ、今後30年以内に地震が発生する確率などリスクを評価していて、ことし1月1日時点の評価が公表されました。 活断層が引き起こす地震は発生間隔が数千年と長いため確率にすると、数字が小さくなります。 このため、地震発生の切迫度は4つのランクに分けられ、確率が3%以上は最も高い「Sランク」とされています。 阪神・淡路大震災が起きる直前の発生確率は0.02%から8%で、現在の「Sランク」にあてはまります。 全国114の主要な活断層帯のうち、ことし1月1日の時点で「Sランク」が含まれるのは32です。 新たに、▽新潟県の「長岡平野西縁断層帯」が加わりました。 また「Sランク」のうち確率が8%を超え、阪神・淡路大震災の発生前より切迫度が高くなっているのは▽「糸魚川ー静岡構造線断層帯」、▽「中央構造線断層帯」の一部区間などあわせて8つの活断層帯です。 最新の情報は地震調査研究推進本部のホームページで公表されています。 一方、2004年の新潟県中越地震などこれまで知られていなかった活断層がずれ動いて地震が起きるケースも相次いでいます。 地震調査研究推進本部地震調査委員会の平田直委員長は、「活断層は過去に大きな地震があった動かぬ証拠なので備えを進めてもらいたい。近い将来には活断層だけでなく地殻変動や地震活動などのデータによる総合的な評価も進めたい」と話しています。 地震調査委 能登の地震活動“経験ない事象 当分の間注意を” 政府の地震調査委員会は、去年1月の能登半島地震から1年がたったことを受けて、これまでの研究結果を議論し、2020年から石川県能登地方で続く一連の地震活動について見解を公表しました。 この中で、地震活動が数年にわたって続き、規模の大きな地震が何度も発生したケースは日本でこれまでに観測されたことがなく、経験したことがない事象に直面し今後の地震活動を見通すのは難しいとしています。 当初は群発地震が起きていて、地下にある水などの流体の移動が関係したと考えられていますが、去年1月の地震の影響で現在は流体の関与を評価できなくなっているということです。 また、去年1月の地震で周辺の活断層が影響を受けた可能性があり、10か月後の去年11月に起きたマグニチュード6.6の地震は異なる断層が活動したと考えられるほか、周辺にはこれまでに評価が行われた活断層に加え、地震を発生させるような断層が存在する可能性があるとしています。 そのうえで、能登地方やその周辺では当分の間、強い揺れや津波に注意し、改めて日頃の備えを確認することが大切だとしています。 地震調査委員会の委員長で東京大学の平田直名誉教授は、「能登半島地震はこれまでの地震とかなり違う。地震活動が低下している印象があるかもしれないが、再び大きな地震が起きる可能性は否定できない」と話しています。 どう受け止めればいいのか?確率の根拠は? [どう受け止めればいいのか?] 南海トラフの巨大地震の確率は毎年更新されていて、一けた単位で算出されています。 去年は「74%から81%」で、ことしは「75%から82%」となりました。 地震調査委員会では最も低い確率と最も高い確率をいずれも四捨五入します。 ことしは最小の数字が75%となったため四捨五入すると80%となり、表現が「80%程度」に変わりました。 宮崎県の沖合で、想定震源域の西端にあたる日向灘でプレート境界がずれ動いた場合、四国沖などに震源域が広がらなければ発生確率の計算に影響しません。 そのため、今月13日や去年8月に日向灘で地震が起きましたが、考慮されていません。 地震調査委員会の委員を務め、地震や地殻変動のメカニズムに詳しい京都大学防災研究所の西村卓也教授は、「『すごく危なくなった』ということではなく、地震の予測に不確定性がある中での1つの数字として捉えるのがいいと思う」と話しています。 [確率算出にはさまざまな手法] 西村教授が「予測に不確定性がある」と指摘する背景には確率の算出手法にはさまざまなものがあり、数字が変わりうることにあります。 地震調査委員会によりますと南海トラフの地震の発生間隔を算出する際はその直前の地震の規模を考慮する手法をとります。 この「時間予測モデル」では▽直前の地震規模が大きければ、次の地震までの間隔は比較的長く、逆に▽直前の地震規模が小さければ、次の地震までの間隔は比較的短くなる、つまり早く起きる、として計算します。 江戸時代の宝永地震から昭和の南海・東南海地震まで単純に計算すると平均発生間隔はおよそ119年です。 ただ、昭和の南海地震と東南海地震のマグニチュードはいずれも8前後と、それより前の巨大地震に比べると小さくなっています。 このため、次の地震までの間隔は88.2年という結果になり、予想される確率も高くなるのです。 一方、西村教授によるとこうした考えをとらず、地震がおおむね一定の期間で発生する、という手法で計算すると20%から40%程度になるといいます。 これについて西村教授は「過去の地震がいつ、どれくらいの規模で起きたかがわかっているかで計算手法が変わり、それによって数字が前後するのはどうしても避けられない。国としては巨大地震の発生確率の計算には現行の手法がふさわしいという判断に今のところなっているが、科学的には議論が分かれる部分もある」と話しています。 その上で「南海トラフ地震は過去に繰り返し起きていて、時間の経過とともに次の地震の発生日に近づいているのは間違いない。確率に一喜一憂せず、次の地震に対する備えを強化してわれわれの防災意識を高めていくことが重要だ」と指摘しています。 |
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