[2024_10_11_06]知事、高レベル搬入拒否 仏変換廃棄物「低」と交換 電事連案 「受け入れ施設なく、門前払い」(東奥日報2024年10月11日)
 
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知事、高レベル搬入拒否 仏変換廃棄物「低」と交換 電事連案 「受け入れ施設なく、門前払い」

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 電力各社でつくる電気事業連合会は10日、使用済み核燃料の再処理を委託したフランスから返還される低レベル放射性廃棄物について、フランス側が保有する高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)と交換した上で六ヶ所村の日本原燃施設へ搬入する計画を示し、県と村に打診した。宮下宗一郎知事は、施設の受け入れ体制が整っていない現状を踏まえ「理解も協力もできず、検討する状況にはない」と拒否した。

 核燃料の再利用に向け、国内電力会社は英仏に再処理を委託した経緯があり、その過程で生じた廃棄物は日本に返還される。フランスの高レベル廃棄物1310本は六ヶ所村に搬入済みだが、低レベル廃棄物収納体は返還に未着手。計画では放射線の影響が等しくなるように、低レベル収納体約1800本をガラス固化体約20本に交換する。
 電事連によると、収納体のままでは輸送に10年ほど要するため、日仏の事業者間で取り決めた2033年の返還完了期限に間に合わない可能性が高く「国際問題に発展しかねない」(原子力事業者)との懸念が生じたという。高レベル固化体への交換により、輸送を1回に減らせるため、早期の返還完了につながるとした。
 ただ原燃の一時貯蔵施設は、完成を2年半ほど先送りした再処理工場と設備の一部を共有するため、操業再開できずにいる。
 宮下知事は県庁を訪れた佐々木敏春電事連副会長に対し「国際的な信頼より県民との信頼関係を第一にしてほしい」と強調し、「お引き取りいただければ」と退出を促した。六ヶ所村で説明を受けた戸田衛村長は「再処理工場の完成延期を発表したこの時期に『理解してくれ』とはいかがなものか。聞き置く程度で今は検討の時期にない」とのコメントを出した。

 英国分は、県が低レベル返還を容認した10年時点で、高レベル固化体への交換を決めている。
(佐々木大輔、新村菜穂)

 ■「受け入れ施設なく、門前払い」 知事一問一等

 フランスから返還される放射性廃棄物に関する電気事業連合会の説明後、宮下宗一郎知事が報道陣の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。

 −提案を拒んだ理由は。
 「六ヶ所村に受け入れる施設がない中で言われても難しく、門前払いだ。検討する価値のないこと」

 ー施設が完成した段階になったら検討するのか。
 「何も言うことはなく、先方が考えることだ」

 −核燃料サイクルを進める上で、日仏の信頼関係を損なうことにならないか。
 「私は県民の側に立って物事を考える。(原子力事業者が)さまざまな事業の約束を何も果たしていない環境の中、国際関係だけを押し付けて『受け入れてほしい』と言われても、理解できないのは当たり前」

(まとめ・佐々木大輔)
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