[2024_09_20_07]34年ぶりの原発建設に大混乱 巻き添えになった日本の名門企業(毎日新聞2024年9月20日)
 
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34年ぶりの原発建設に大混乱 巻き添えになった日本の名門企業

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 米南部ジョージア州で原発新設が原因で電気料金が急上昇し、市民が怒りを爆発させている。原発大国の米国で34年ぶりに建設許可された原子力業界期待のプロジェクトだったが、予期せぬトラブルで工期や費用が膨らんだ。それは日本の名門企業を揺るがす事態にも発展した。

 「安価な電力」とも言われた原子力発電の“神話”に陰りが見えています。脱炭素の有力手段として期待する声もあるエネルギー源に、何が起きているのでしょうか。「原発・出口なき迷走」の米国編(全6回)では、かつて原子力の商業利用をリードし、今も国別で最多の原発を抱える米国の現状を通じて考えます。

  第1回 新設で電気代急騰 1人暮らしで「月8万円」も
  第2回 AIで電力需要増 整備急ぐ政府の事情
 第3回 34年ぶりの建設に大混乱 巻き添えになった日本の名門企業
  第4回 スタバ、マイクロソフト…… 豊富な電力に集まる企業
 第5回 「コスト」に市民の視線厳しく 長期運転で「ゾンビ化」
 第6回 原発は「脱炭素電源」 高コスト覚悟でも回帰する世界

 米原子力規制委員会(NRC)がボーグル原発3、4号機の増設計画を承認したのは2012年だった。メーカーは米ウェスチングハウス(WH)。「AP1000」と呼ばれる改良型の加圧水型軽水炉で、東日本大震災の際に福島第1原発で起きたような電源喪失事態でも自動的に燃料を冷却できるなど、高い安全性と効率性を売りにしている。

 「原発ルネサンス(復活)」(米エネルギー省)と期待を集めたものの、実際に工事が始まるとトラブルの連続だった。
 米エネルギー省は23年3月に公表した報告書で、ボーグル原発の工事の遅れの主な原因を分析している。

 まず現場の作業でミスや失敗が多く、再工事に時間を要してしまった。下請け業者から部品や材料の納入が遅れたり、納入品が基準を満たしていなかったりすることもあった。建設作業員の生産性が想定よりも低かったうえ、的確な作業指示やスケジュール管理ができなかった。必要な労働者をなかなか確保できず、新型コロナウイルス禍が人手不足に追い打ちをかけた――としている。

 一方、根本的な原因として、米国では原発の新規建設計画に30年以…(後略)

【補足】ボーグル原発3号機(2023年7月営業運転)、4号機(2024年4月営業運転)
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