[2024_10_03_06]東海村で原子力安全対策懇談会 住民代表が不安の声「再稼働は恐怖でしかない」 防潮堤や避難計画で議論(東京新聞2024年10月3日)
 
参照元
東海村で原子力安全対策懇談会 住民代表が不安の声「再稼働は恐怖でしかない」 防潮堤や避難計画で議論

 07:32
 日本原子力発電東海第2原発など原子力関連施設が集積する茨城県東海村で2日、住民や有識者による原子力安全対策懇談会が開かれ、東海第2の防潮堤の施工不良や村の広域避難計画について議論した。住民代表の委員からは、原発事故時の避難の困難さを念頭に「(東海第2の)再稼働は恐怖でしかない」との声も聞かれた。(竹島勇)

 懇談会は、1999年に村内にある核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所」で起きた臨界事故を受け、村が2000年4月に設置。住民や有識者計15人で構成し、毎年開いている。
 本年度初会合となった2日は、原電が東海第2の再稼働を目指して進めている事故対策工事の状況と、村が昨年12月に策定した広域避難計画の周知方法を議題とした。説明と質疑のため原電の担当者も出席した。
 原電側は、昨年6月に防潮堤の基礎部分でコンクリートの未充てん(じゅうてん)などの施工不良が見つかり、一部工事がストップしていることや、その対策のため、今年9月としていた工事完了時期を26年12月に延長したことなどを説明した。

 原子力関連施設で勤務経験がある委員は、工事完了までに大地震や津波があったらどうなるかを質問。原電は「工期が長くなればリスクは否定できない」と認めたうえで「津波が来ても建屋に水が入らないようにしている」と答えた。
 別の委員は、東海第2敷地内に大量の建設残土があると指摘。原電は「残土の約70万立方メートルは発電所外に極力出さず、敷地内で処理する」とした。
 広域避難計画の周知では、村側は避難先や避難方法を居住地ごとに全戸配布する案を説明。一般公募の女性委員は、計画で自家用車での避難が原則とされている点を「渋滞して避難しきれない」と指摘。「村で安全神話を教えられてきたが、JCO事故が起こった。(東海第2の)再稼働は決まっているんでしょうか」と語気を強めた。

 別の女性委員は「私の勤務先と娘の通う小学校では、最初に避難する場所が取手市とつくばみらい市で違う。娘に会えるのか」と不安を口にした。
 村防災原子力安全課の平根忠義課長は終了後、報道陣の取材に「住民の理解を深めることが大切。きょうは良い指摘をいただいた。原子力関連施設の見学も検討したい」と述べた。
 反原発を訴える阿部功志村議(無会派)は懇談会傍聴後、本紙の取材に「議会でもただしたが、委員をどう選んでいるのか不透明。原子力関連施設に勤務経験のある3人が実務経験者枠となっているが、利害関係者で中立とはいえない」と話した。
KEY_WORD:TOUKAI_GEN2_:JCO臨界事故_: