[2025_06_10_01]東海村の山田修村長が再稼働「容認」に転じる 茨城・東海第2原発の地元 秋の村長選で信を問う考え(東京新聞2025年6月10日)
 
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東海村の山田修村長が再稼働「容認」に転じる 茨城・東海第2原発の地元 秋の村長選で信を問う考え

 21:33
 首都圏唯一の原発で日本原子力発電(原電)が再稼働を目指す東海第2原発が立地する茨城県東海村の山田修村長(64)は10日、村議会で「再稼働は必要だ」と容認を表明した。東京電力福島第1原発事故後で、東海第2の再稼働の容認表明は初。原電との協定に基づき再稼働の事前了解が必要な県と周辺6市村のうち、人口が最も多い水戸市が難色を示すほか、事故対策工事も終わっていないため再稼働は見通せない。(酒井健)

 9月の任期満了に伴う村長選に、4選を目指し立候補する意向も表明。10日の村議会では「再稼働に対する考えを明確にした上で選挙に臨み、結果を(再稼働の是非の)判断材料の一つとしたい」と答弁した。

 ◆再稼働の条件「避難計画の了承と事故対策の完了」

 再稼働の条件として、村の避難計画などを国が了承するとともに、原電が進める事故対策工事の完了を挙げた。表明後の報道陣の取材には「村の基幹産業は原子力発電と研究。地域の雇用と経済の相当な部分を占めている」と語った。
 東海第2の事故対策工事は、防潮堤の施工不良の影響で、完了予定が2026年12月に遅れた。原電は耐震に関するデータを原子力規制委員会に説明し切れていないため、審査は止まっている。規制委が妥当と判断するかも分からず、先行きは見通せていない。
 山田村長は東海村副村長を経て、2013年に初当選し3期目。過去3回の村長選では再稼働に「中立」の立場だった。
 事前了解が必要な水戸市の高橋靖市長は10日、「施設の万全の安全対策、実効性ある広域避難計画、そして市民の理解がなければ(再稼働は)あり得ないものと考えている」とのコメントを出した。

 ◆前村長の村上達也さん「裏切りだ」

 前村長で「脱原発をめざす首長会議」世話人を務める村上達也さん(82)は本紙の取材に「そもそも避難計画が必要な施設などあって良いのか」と疑問を呈す。その上で村長を辞める際、当時副村長の山田村長に「心残りは東海第2を止めてないことだ」と伝えたといい、「彼は『信じてください』と言った。裏切りだ」と批判した。

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 ◆原発リスク「ゼロではない」 山田修村長・一問一答

 東海村の山田村長は10日、村議会で東海第2原発の再稼働容認と村長選への出馬を表明した後、報道陣の取材に応じた。一問一答は次の通り。(酒井健)

 ──選挙で住民の意思を確認したいということか。
 再稼働について(村の)責任者である私がどういう考えを持っているかを示し、それに対して住民がどう思うかを聞く。原子力を本当に必要だと思っている私が、ここではっきり考えを述べるべきだと考えた。
 何をもって「住民の総意を確認した」といえるかは難しい。住民投票やアンケートの○×式では決め(後略)
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