[2025_06_11_02]「夏場も電力に余裕」で原発再稼働のロジックは崩れた… 推進側が持ち出す「新たな理屈」も苦しさありあり(東京新聞2025年6月11日)
 
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「夏場も電力に余裕」で原発再稼働のロジックは崩れた… 推進側が持ち出す「新たな理屈」も苦しさありあり

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 再稼働の準備を進める東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)や日本原子力発電東海第2原発(茨城県)は、ともに首都圏向けに電力を供給する電源だ。政府は、早期再稼働の理由の一つに「夏場の電力需給の逼迫(ひっぱく)」を挙げる。だが、経済産業省は今夏、安定供給できる見通しを示し節電要請もしない方針だ。東京電力福島第1原発事故から14年超。その反省を踏まえ、電力不足のエリアに融通できる送電網の増強もあり、首都圏では電力需給面で原発の必要性は薄れている。 (浜崎陽介、荒井六貴)

 ◆柏崎刈羽がなくても耐えられる

 「10年以上止まっているので、KK(柏崎刈羽)がなくても耐えられるようにはなってきている」
 首都圏の電力需給の状況について、東京電力の関係者は自嘲気味にそう話す。
 東京電力管内では原発事故後、2012年3月に柏崎刈羽6号機が停止してから、節電要請や需給逼迫の警報が出される局面はあったが、「原発ゼロ」で乗り切ってきた。

 ◆「10年に1度」でも予備率7%

 電気事業者による「電力広域的運営推進機関」の資料で昨夏の実績ベースを見ると、全国で最も電力需要が大きかった2024年8月5日月曜日の午後1〜2時で、東京電力管内は供給力の6148万キロワットに対し、需要は5435万キロワットだった。
 電力需要に対する供給余力を表す予備率は13.1%で、安定供給に最低限必要な3%を十分に上回った。当日の供給力の内訳は6割が火力で、水力や太陽光で計3割弱。太陽光は約814万キロワットで原発8基分ほどを担う。東京電力管内で需要最大の同年7月29日午後2〜3時も、予備率は10.2%で比較的、余裕があった。
 資源エネルギー庁によると、今夏について10年に1度の猛暑を想定しても、東京電力管内の予備率は7%以上の見通し。今冬も5%以上を確保できそうだという。

 ◆「東京湾に火力が集中」を問題視

 もはや首都圏では電力需要面で柏崎刈羽や東海第2の再稼働の必要性は乏しい。このため最近、原発推進側は別のロジックも持ち出す。エネ庁電力基盤整備課の担当者は「東京湾に火力発電所が集中して...(後略)
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