[2024_09_24_06]津波 “海底隆起するトラップドア断層破壊が原因の可能性”(NHK2024年9月24日)
 
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津波 “海底隆起するトラップドア断層破壊が原因の可能性”

 18:43
 鳥島近海を震源とする地震で津波が観測されたことについて、専門家は海底火山の地下のマグマが上昇して海底が隆起する「トラップドア断層破壊」が原因だった可能性があると指摘しています。

 24日午前8時すぎに鳥島近海を震源とするマグニチュード5.8の地震が発生し、八丈島・八重根で50センチの津波を観測するなど伊豆諸島の各地に津波が押し寄せました。
 気象庁は、通常、津波を引き起こすほどの規模の地震ではないとしたうえで、震源に近くに海底火山の須美寿島があると説明しましたが、津波との関連は分かっていないということです。

 今回の地震や津波について鳥島近海の津波のメカニズムに詳しい東京大学地震研究所の三反畑修助教は、須美寿島の影響を指摘しています。
 三反畑助教によりますと、須美寿島周辺では1984年、1996年、2006年、2015年と、10年前後の間隔でマグニチュード6程度の地震が起き津波が観測されているということです。

 いずれも地下のマグマが上昇して海底が隆起する「トラップドア断層破壊」が津波を引き起こしたとみられ、今回も同じメカニズムだったと考えられるとしています。
 「トラップドア断層破壊」は通常の地震に比べて地下の浅い場所で起きることから強い揺れが広く伝わりにくい一方、海底の地形が変わるため津波が発生するということで、今回も震度1以上の揺れは観測されませんでした。

 地下にマグマがたまるのに一定の時間がかかることから須美寿島では10年ほどの間隔で同様の地震が繰り返し起きているのではないかとしています。
 須美寿島では、ことし7年ぶりに周辺の海水の変色が確認され、今月、気象庁が海底噴火のおそれがあるとして周辺海域に噴火警報を発表し、航行する船舶などに警戒するよう呼びかけていました。

 三反畑助教は「過去の事例では『トラップドア断層破壊』のあとは活動が落ち着いたが、地下にマグマがたまっているため別の火山現象に移行するおそれもある。海底噴火が発生すれば再び津波が起こる可能性もあり今後の活動に注意が必要だ」と話しています。
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