[2025_07_03_02]【地震情報】鹿児島 悪石島で震度6弱 村役場“全員無事確認”(NHK2025年7月3日)
 
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【地震情報】鹿児島 悪石島で震度6弱 村役場“全員無事確認”

 22:02
 先月下旬から地震が相次いでいる鹿児島県十島村で、3日夕方、これまでで最大の震度6弱の揺れを観測する地震がありました。気象庁は、揺れの強かった地域では当面、最大震度6弱程度の揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。
 十島村役場によりますと島内にいる全員の無事を確認したということです。久保源一郎 村長は、希望者を対象に島外避難を行う方針を明らかにしました。

3日16時13分ごろ M5.5

 地震が起きたのは、3日午後4時13分ごろで、震度6弱の揺れを鹿児島県十島村の悪石島で観測しました。

 また
 ▽震度3の揺れを小宝島で
 ▽震度2や1の揺れを十島村や奄美北部、奄美南部の広い範囲で観測しました。この地震で津波はありませんでした。
 震源地はトカラ列島近海で、震源の深さは20キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.5と推定されています。十島村で観測された揺れで震度6弱は過去最大だということです。
 悪石島や小宝島付近では先月21日から地震活動が活発になっていて、震度1以上の揺れの地震は、3日午後5時までに1050回にのぼっています。この領域では、おととしや4年前にも活発な地震活動がありましたが、震度1以上の地震回数は
 ▽おととし9月は15日間で346回
 ▽4年前の12月は26日間で308回で、今回は3倍以上と非常に多くなっています。

 気象庁は、十島村では地盤が緩んでいる可能性が高く土砂災害の危険性が通常より高まっているとして、大雨注意報と大雨警報、それに土砂災害警戒情報の発表基準を当面、通常の7割に引き下げることにしています。
 そのうえで、揺れの強かった地域では、家屋の倒壊や土砂災害など今後の地震活動や雨の降り方に十分注意するとともに、地震活動の終息が見通せないとして当面、最大震度6弱程度の揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。
 一方、日本で大地震が起きるといううわさが広がっていることと今回の地震との関係について、気象庁は、今の科学技術では地震予知はできず、デマだとしています。

 【詳しくはこちら】気象庁が会見

 16:50すぎ
 十島村役場 “島内の全員の無事を確認”

 鹿児島県の十島村役場によりますと午後4時50分すぎに島内にいる全員の無事を確認したということです。無事が確認できたのは島の住民66人、外から島に訪れて滞在している8人、それに漁に出ていた2人のあわせて76人です。消防団が集落で引き続き被害がないか確認を進めているということです。

 十島村 久保村長“住民の島外避難の方針 4日 希望者対象に”

 鹿児島県の十島村は、悪石島で初の震度6弱を観測するなど地震が続いていることから、希望者を対象に島外避難を行うことを決めました。4日のフェリーで第一陣が鹿児島市に向かう予定です。
 村によりますと、夜に眠れないなど、住民の疲労はピークに達しているということです。久保源一郎 村長は、オンラインで出席した県の災害対策本部会議で「島外避難を希望し、準備ができた住民を4日の船で鹿児島市に運ぶ予定だ」と述べました。村によりますと第1陣として、4日午前2時に悪石島のおよそ120キロ南にある奄美大島の名瀬港を出港して鹿児島市の鹿児島港に向かう、村営のフェリーで避難させるということです。
 フェリーは鹿児島港に到着するまでの間に、十島村の7つの有人離島に接岸する予定で、悪石島からは0歳から80歳の合わせて13人が、4日の便での島外避難を希望しているということです。フェリーは4日午後6時すぎに鹿児島港に到着し、避難する人たちは村が手配した市内の宿泊施設などで過ごしてもらうことになっています。
 村は島外避難の期間について1週間をめどに考えているとしているほか、ほかの島からの島外避難も今後、検討するとしています。

 十島村 過去の島外避難の事例

 鹿児島県十島村が地震や台風などの災害を理由に島外避難を決めたケースは過去にあります。
 ▽4年前の2021年12月9日には、十島村の悪石島で震度5強の強い揺れを観測し、2日後から希望する住民を対象に島の外への避難を進めました。このときは、悪石島の島民のおよそ4割にあたる12世帯30人が村営の船で島の外に出て、村が用意した鹿児島市や奄美市のホテルのほか親族の家に避難しました。島外での避難生活は、地震の回数が少なくなるまで続きました。一方、畜産業を営む人などは、牛の世話があるため島を離れられないとして、相次ぐ地震に不安を抱えながらも島に残ったということです。
 ▽5年前の2020年には、台風に備えて接近前に島外へ避難したケースもあり、このときは自衛隊機を使って希望したおよそ200人の住民が鹿児島市へ避難しました。

 ◇十島村役場 役場の本庁舎は鹿児島市内に(1956年〜)

 十島村はトカラ列島の10を超える島々からなる村で7つの有人島があり、役場の本庁舎は鹿児島市内にあります。全国市町村会のホームページによりますと、戦後、1952年に本土に復帰したあと現在の十島村が発足しましたが、島々の生活や経済、産業などは本土との関わり合いが増していたことから、1956年に役場庁舎を鹿児島市内に移転し現在も続いています。

 “悪石島の北側で崖崩れ確認” 鹿児島県

 鹿児島県の災害対策本部によりますと、海上自衛隊の鹿屋航空基地が航空機で上空から悪石島の状況を確認したところ、島の北側で崖くずれを確認したという報告があったということです。また、県の担当者によりますと、この場所の付近に道路や住宅などはないということです。

 鹿児島県 十島村に災害救助法の適用を決定

 鹿児島県の塩田知事は、災害対策会議後に報道陣の取材に応じ「きょう午後8時半に、国との調整の結果災害救助法の適用が決定した」と述べ、震度6弱の揺れを観測した十島村の地震で災害救助法が適用されるとの認識を示しました。これにより、避難所の設置などの費用を国と県が負担します。

 十島村 38世帯80人の避難指示解除

 鹿児島県の十島村は、住民の安否が確認できたとして3日午後5時半に悪石島全域の38世帯、80人に出していた避難指示を解除しました。

 十島村で震度6弱の揺れ観測は初めて

 気象庁によりますと、1919年以降のデータでは鹿児島県の十島村で震度6弱の揺れを観測したのは初めてです。

 気象庁 十島村の大雨警報などの基準 通常の7割に引き下げ

 今回の地震で揺れの大きかった鹿児島県十島村について、気象庁は地盤が緩んでいる可能性が高く土砂災害の危険性が通常より高まっているとして、大雨注意報と大雨警報、それに土砂災害警戒情報の基準を当面、通常の7割に引き下げると発表しました。気象庁は揺れの強かった地域では今後、地震の揺れや雨の降り方に十分注意するよう呼びかけています。

 専門家 “地震活動 マグマの移動などで活発化も考えられる”

 鹿児島県のトカラ列島近海で非常に活発な地震活動が続いている要因について、専門家は、マグマの移動など何らかの外部からの力が地下の断層に加えられている可能性もあると分析しています。そのため見通しは難しく、今後も地震活動に注意が必要だとしています。
 地震のメカニズムに詳しい京都大学防災研究所の西村卓也教授は、先月から活発化している一連の地震活動について「今月になって西側に震源の領域が移り、きょうの震度6弱の地震は再び東側で起きている。東と西の2つの領域で群発的な地震活動があり、それぞれ地下に断層があって地震が起きている可能性がある」と話しています。
 地震活動が続いている要因について「外部からある程度、断層に力が加わらないとここまで長く地震活動は続かない。この地域には海底火山もあるのでマグマなど火山性のものが移動することで活発化していることも考えられる」とした上で「外部の要因がおさまらないと地震がおさまらないので、見通しを示すことは難しい」と指摘しています。
 また「過去、群発地震が起きた地域では揺れが続いて船酔いのような状態になるなど日常生活に支障が出るケースもあった。現状では地震活動がおさまる様子がみられないので、揺れに備えるとともに、少しでも安全なところに避難することを考えてもよいのではないか」と話しています。

 専門家「収まりかけて再活発化した印象受ける」

 地震が起きた地域の地殻変動に詳しい鹿児島大学の中尾茂教授は「この地域では、これまでにも何度か群発地震活動が発生しているが5日から10日ほどたつと活動としては、ほぼ終わるというケースが多かった。今回は収まりかけて再活発化したというような印象を受けている」と話しています。
 また「この地域の過去の地震活動はマグニチュード5を超える地震は数回程度だったが、今回は、特に最近、マグニチュード5クラスの地震が10回近く起きていて、活動を注視していかないといけない。地震が起きた島では道路のそばに崖がある状況も多いと思うので、こうした場所に近づく場合は十分に注意してほしい」と呼びかけていました。

 専門家 “今後 複数の大学で協力し臨時の地震計設置も検討”

 鹿児島県十島村の悪石島で震度6弱の揺れを観測したことについて、東京大学地震研究所の酒井慎一教授は「2日のマグニチュード5.6の地震と、3日のマグニチュード5.5の地震は同じような規模だが、震度がかなり違う。今回は、島にやや近いところで起きたのだと思う」と述べました。一連の地震を引き起こしている要因については「プレート境界の沈み込みか、海底下の火山活動なのか、西側にある沖縄トラフか、いずれも、可能性はゼロではないが、証拠が見つからない」と述べ、現時点ではわからないとしています。
 また、こうしたメカニズムを検討する上で重要なデータについて、離島であることから設置されている地震計が少なく、気象庁が決める震源の位置は本州などに比べて誤差が大きいと指摘しています。そのため今後、複数の大学で協力し近隣の島や海底に臨時の地震計を設置することも検討しているということです。
 酒井教授は「現状、観測点が非常にまばらなので、地震が起きる回数や頻度以上のことはわからないのが実情だ。臨時観測を通じて正しい情報を得る努力をしないといけない」と話しています。

 トカラ列島近海 地震相次ぐ 先月21日以降で1000回超に

 鹿児島県十島村にある悪石島や小宝島付近では先月21日から地震活動が活発になっていて、震度1以上の揺れを観測する地震は、これまでに1000回を超えています。
 この地域では、おととしや4年前にも活発な地震活動がありましたが、震度1以上の地震回数は
 ▽おととし9月は15日間で346回
 ▽4年前の12月は26日間で308回だったのに比べて、これまでと比べても非常に多くなっています。
 このうち、震度5弱以上の揺れを観測する地震は、震度6弱を含めて4回にのぼっています。
 ==地震発生後の経過==

 国土交通相「被害状況の全容 早期把握に全力」指示

 今回の地震を受けて、国土交通省は、午後6時半ごろから幹部らが集まって災害対策本部会議を開きました。この中で、オンラインで参加した中野国土交通大臣は、海上保安庁の巡視船や航空機、それに地方整備局の防災ヘリコプターで現地の被害状況の確認を進めていることを明らかにしました。
 その上で中野大臣は「今のところ被害は確認されていないが、被害状況の全容が早期に把握できるよう全力をあげるとともに、それらの情報を国民に適切に提供してください」と幹部職員に指示しました。

 気象庁会見「当面 最大震度6弱程度の揺れに注意を」

 鹿児島県十島村の悪石島で震度6弱の揺れを観測したことについて、気象庁地震津波監視課の海老田綾貴課長は「揺れの強かった地域では、家屋の倒壊や土砂災害など今後の地震活動や雨の状況に十分注意し、危険な場所に立ち入らないようにしてほしい」と述べたうえで、当面、最大震度6弱程度の揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけました。

 17:00すぎ
 林官房長官 会見「災害応急対策に全力で取り組んでいく」

 林官房長官は午後5時すぎの臨時の記者会見で「引き続き被害状況の把握を進め、自治体と緊密に連携を図りながら災害応急対策に全力で取り組んでいく」と述べました。その上で「国民には、引き続き震度6弱程度の地震の発生に注意するとともに、揺れの強かった地域に住む人は自治体の避難情報のほかテレビやラジオ、インターネットなどの情報にも注意して行動してもらいたい」と呼びかけました。

 石破首相 被害状況の把握や応急対策などを指示

 今回の地震を受けて、石破総理大臣は、午後4時17分、早急に被害状況を把握すること、地方自治体とも緊密に連携し人命第一の方針のもと、政府一体となって被災者の救命・救助などの災害応急対策に全力で取り組むこと、国民に対し避難や被害などに関する情報提供を適時的確に行うことを指示しました。

 九電 “十島村では停電なし”(16:50時点)

 九州電力によりますと、震度6弱の揺れを観測した悪石島がある鹿児島県の十島村では午後4時50分の時点で、停電は起きていないということです。

 携帯各社 “携帯電話 通話や通信への影響は確認されず”

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルによりますと、今回の地震による携帯電話の通話や通信への影響は確認されていないということです。

 警察「人的被害など大きな被害はなかったと聞いている」

 鹿児島県十島村を管轄する鹿児島中央警察署は「人的被害など大きな被害はなかったと聞いている。ほかに家屋や道路などの被害がないか、これから確認する」としています。

 警察庁 災害警備本部を設置

 警察庁は今回の地震を受けて、警備局長をトップとする災害警備本部を設置し、被害の状況などについて情報収集を進めています。

 悪石島の住民「かなり長い時間揺れていると感じた」

 震度6弱の揺れを観測した鹿児島県十島村の悪石島に住む有川和則さんは「かなり長い時間揺れていると感じました。揺れたときは外にいましたが、周りの人はびっくりしていました。避難所にかなりの住人が集まっています」と話していました。

 政府 官邸対策室に格上げ

 鹿児島県十島村で震度6弱の揺れを観測する地震が発生したことを受けて、政府は、午後4時17分に総理大臣官邸の危機管理センターに設置している情報連絡室を官邸対策室に格上げしました。また、関係省庁の担当者をメンバーとする緊急参集チームを招集し、被害情報の収集などにあたっています。

 気象庁 17時25分から会見へ

 鹿児島県十島村で震度6弱の揺れを観測した地震について、気象庁は3日午後5時25分から会見を開き地震の状況や警戒すべき点などについて説明することにしています。

 防衛省・自衛隊 航空機を派遣し被害状況など情報収集

 今回の地震を受けて、防衛省・自衛隊は揺れが大きかった地域の上空に航空機を派遣し、被害の状況など情報収集を進めています。

 十島村総務課「現地に状況確認中」
 鹿児島市内に拠点を置いている鹿児島県十島村の総務課の職員は「現地に状況を確認中だ」と話していました。

 16:30ごろ
 坂井防災担当相「現場の情報を収集する」

 坂井防災担当大臣は午後4時半ごろ総理大臣官邸に入った際、記者団に対し「これから状況を確認する。現場の情報を収集する」と述べました。

 林官房長官 17時過ぎから臨時会見へ

 鹿児島県十島村で震度6弱の揺れを観測する地震が発生したことを受けて、林官房長官は3日午後5時すぎから、臨時に記者会見を行うことにしています。
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