| [2026_01_09_17]【中部電力不正】原発を扱う資格あるのか(高知新聞2026年1月9日) |
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05:00 原発の稼働に際し、最も優先すべき安全性をないがしろにした。招いた不信感は大きい。 中部電力が、浜岡原発(静岡県御前崎市)3、4号機の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査で、データを不正操作していた。耐震設計の目安として想定する揺れ(基準地震動)を過小評価していたという。 基準地震動は、原子炉建屋の耐震設計の基準になるなど、原発の安全にかかわる最重要データの一つだ。それに意図的に手を加えることは悪質な捏造(ねつぞう)、改ざんにほかならない。昨年2月、規制委に外部通報があって発覚したが、それがなければ見過ごされていた可能性が高い。 事業者の安全意識が疑われ、信頼が根底から揺らぐ。浜岡原発は、南海トラフ巨大地震の想定震源域にあり、近くを東海道新幹線や東名高速道が通る。もともとリスクが高い上に、ひとたび起これば深刻な被害が避けられない原発の重大事故の中でも、特に甚大な被害が予想される原発でもある。 規制委は「安全規制に対する暴挙」と断罪し、再稼働の審査をやり直す方針を示した。事業者の提出データが正しいとの前提で審査するだけに厳しい対応は当然だ。一方で意図的な不正があった時にどう見抜くか、課題も突き付けられた。 不正には複数の社員が関与していた。基準地震動を策定する際、本来は20組の地震動の中から平均に最も近い「代表波」を選ばなければならないが、実際は自社に都合のよいデータを意図的に選んでいた。 不正に関わった社員らは、時間的な制約や審査への影響を原因に挙げているという。耐震性能の強化に伴うコスト増を抑えようとしたのではないかとの見方もある。 浜岡原発を巡っては、昨年11月にも、安全対策工事で正式な契約変更や精算手続きを行わない事例が相次ぎ、数十億円の未精算金が発生する不祥事も発覚している。その背景として「予定通り工程を進めないといけないとの重圧があった」と話す社内の関係者もいた。 中部電は、法令順守意識の低さ、上層部の強い圧力、風通しの悪さなど、ガバナンス(企業統治)や組織文化に問題を抱えているのではないか。事業者に原発を扱う資格があるのか疑問符もつく。 同社は、第三者委員会を設置して事実関係の調査に当たる。林欣吾社長は「原子力部門の解体的な再構築」に言及したが、信頼を取り戻すには、踏み込んだ原因究明と組織の抜本改革に取り組むほかない。 原発の再稼働を巡っては、新潟県の東京電力柏崎刈羽原発、北海道電力泊原発が地元同意で前進するなど、動きが活発化している。 一方で、事業者が安全意識を欠く事例も絶えない。近年では、敦賀原発2号機の再稼働で日本原子力発電による地層調査記録の書き換えがあった。今回の問題で原発にはあらためて厳しい目が向く。電力業界を挙げて、安全への責任を果たさなければならない。 |
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