| [2026_01_08_12]浜岡原発のデータ不正 あるまじき安全の軽視だ(中国新聞2026年1月8日) |
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04:00 原発の再稼働を審査する仕組みを根底から揺るがす事態である。 中部電力が浜岡原発3、4号機(静岡県御前崎市)について、耐震設計の目安として想定する揺れ「基準地震動」を過小評価した疑いがあると発表した。 浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域にあり、とりわけ慎重な審査が要るはずだ。適切な安全対策が取られないまま再稼働する可能性があったと考えると恐ろしい。 原子力規制委員会の山中伸介委員長はきのうの記者会見で「明らかに捏造(ねつぞう)」と批判し、審査を白紙にする考えを示した。名古屋市の中部電本店への立ち入り検査を実施する方針でいる。規制委には厳格な対応を求めたい。 基準地震動は、条件設定を変えた20通りの地震動のグラフのうち、平均に最も近い波を「代表波」に選ぶことになっていた。しかし、実態は意図的に代表波を選んだ上で、それが平均になるよう後から残り19通りの地震動を選定していたという。 耐震設計の前提となる揺れを小さく見積もっていた疑いがある。都合のいいデータを採用したとすれば悪質だ。地元住民が「信頼関係をないがしろにされた」と憤るのは当然で、原発を運営する事業者として適格性が疑われる。 不正は数人の社員が関与し、2018年以前から行われていたとみられている。 浜岡原発は中部電で唯一の原発で、11年の東京電力福島第1原発事故を受けて停止したままだ。中国電力島根原発(松江市)など再稼働が相次ぎ、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)も地元同意を終えている。不正の背景に審査の遅れによる焦りがあったとすれば、思い違いも甚だしい。 これまでの聞き取りで、時間の制約や審査への影響を理由に挙げたというが、安全性より優先すべきものはない。 外部の弁護士からなる第三者委員会には、事実関係や原因を厳しく調べてもらいたい。不正が組織ぐるみだった可能性を含めて調査を徹底し、責任を明確にしなければならない。 浜岡原発を巡っては昨年11月、安全対策工事で正式な契約変更や精算手続きを行っていない不祥事が計20件も明るみになった。副社長ら幹部2人が引責辞任している。 今回の不正を受けて、林欣吾社長は「原子力部門の解体的な再構築を視野に入れる」と述べた。不祥事が相次ぐ土壌を今の経営陣で一掃できるのか、不安は尽きない。 データの不正が分かったきっかけは昨年2月にあった規制委への外部通報だった。規制委も時間をかけて審査してきたのに、見抜けなかったのだろうか。電力会社が用意したデータに頼る審査の仕組みにも問題はある。不正を防ぐ方法を考える必要がある。 福島の事故から間もなく15年。原発依存の見直しを打ち出したはずの政府は「原発回帰」へと方針転換した。再稼働推進の中で関係者の緊張が緩んでいないか。原発に関わる重みを再認識してほしい。 |
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