[2026_01_19_17]使用済核燃料の「乾式貯蔵」に反対する 原発延命・核のごみ固定化・自治への侵害… これら「三重の問題」が問われている 核燃料サイクルの失敗を認めた上で原子力に依存しない社会への真の転換を始めること 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2026年1月19日)
 
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使用済核燃料の「乾式貯蔵」に反対する 原発延命・核のごみ固定化・自治への侵害… これら「三重の問題」が問われている 核燃料サイクルの失敗を認めた上で原子力に依存しない社会への真の転換を始めること 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

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 現在、政府と電力会社が進める「乾式貯蔵」の拡大は、単なる燃料保管
の手段変更ではありません。
 それは破綻した国策のツケを立地地域に押し付け、原発を永続的に動かし続けるための極めて危うい選択です。
 以下の理由から、乾式貯蔵の導入には強く反対するものです。

1.破綻した「核燃料サイクル」の身代わり

 「使った燃料を再処理して再利用する」という核燃料サイクルを国策としてきました。
 ところが、その中核を担うことになっている六ヶ所再処理工場は、相次ぐトラブルで27回も完成が延期されています。
 これまでに実際の使用済燃料を使って行った「アクティブ試験」の影響もあって、再処理施設の内部は既に高線量の汚染が存在します。そうした設備が多数存在するため、人が近付くことさえ困難になっているのです。

 このことから、新規制基準適合性審査において新たな知見を得て基準地震動をかさ上げし、耐震補強などを行おうにも、耐震補強などの対策が事実上不可能な場所が沢山あるのです。
 既に240立方mも溜まっている高レベル放射性廃液のガラス固化試験を実施する目途すら立っていないのが現実です。

 本来、燃料の行き場がなくなった時点で、原発政策は立ち止まって見直すべきでした。
 しかし、政府はこの「失敗」を直視せず、乾式貯蔵という一時しのぎの「箱」を増設することで、問題を先送りし続けています。

2.原発を止めないための「延命装置」

 原発の運転を続けると、建屋内の燃料プールはやがて満杯になります。満杯になれば物理的に運転を止めざるを得ません。この「物理的限界」を回避し、原発を動かし続けるためのバイパスとして用意されたのが乾式貯蔵です。
 例えば伊方原発3号機では、この施設の導入によって24年以上もの運転延長が可能になるとされています。
 つまり、乾式貯蔵は「安全な保管」のためではなく、さらなる核のごみを生み出し続けるための「原発延命装置」に他ならないのです。

3.「行き場なき固定化」事実上の最終処分場化

 「将来は再処理工場に搬出する」という説明は、今や空手形に等しいものです。
 再処理の目途が立たず、最終処分場も決まっていない現状で乾式貯蔵を認めることは、その土地を「事実上の最終処分場」として受け入れるよう強要することを意味します。
 根拠のない期待に依存し、地域に核のごみを半永久的に留め置く決定は、将来世代に計り知れない負担を強いる無責任な行為です。

4.自然災害リスクを軽視した安全性評価

 日本は地震・津波だけでなく、火山噴火や火砕流、そして近年の異常な酷暑など、過酷な自然災害が重なるリスクを抱えています。
 現在の安全評価は、これらの「複合災害」や「熱波による冷却不全」のリスクを十分に包括していません。
 設計上の想定を超える事態が起きた際、誰がどのような責任を取れるのか、住民の命に直結するリスクが制度的に軽視されたまま計画が強行されている現状は看過できません。

5.形骸化する住民自治と「犠牲のシステム」

 福井県などの事例に見られるように、乾式貯蔵の建設同意を巡る議論は、知事の政治的判断や国との駆け引きの道具にされています。
 そこには、その土地に住み続ける住民の真の合意や、自治の本質的な判断は介在していません。
 電力の恩恵を都市部が享受し、リスクと負の遺産だけを地方に押し付ける。この構造は、哲学者の高橋哲哉氏が指摘する「犠牲のシステム」そのものです。乾式貯蔵の拡大は、この不条理な構造をさらに固定化・強化してしまいます。

6.今こそ政策の転換を

 乾式貯蔵は、原発を動かし続けるための「延命策」そのものであり、地域を核のごみで縛り付ける「足かせ」です。
 このような乾式貯蔵計画の即時停止を求めます。
 必要なのは、これ以上核のごみを増やさないという決断を下し、核燃料サイクルの失敗を認めた上で、原子力に依存しない社会への真の転換を始めることです。
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