[2026_01_15_09]中部電 立ち入り検査へ 浜岡再稼働へ焦り背景か 疑念の目 業界全体に波及(東奥日報2026年1月15日)
 
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中部電 立ち入り検査へ 浜岡再稼働へ焦り背景か 疑念の目 業界全体に波及

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 中部電力が浜岡原発3、4号機(静岡県)の耐震設計に関わるデータを不正操作していた問題で、原子力規制委員会が実態解明に向け、立ち入り検査に乗り出す。背景には安全重視を徹底できない中部電の組織風土の問題があるとの指摘もあり、経営陣の関与の有無も詳しく調べる。中部電が前代未聞の不正を公表して以降、他の電力会社にも疑念の目が向けられている。全容解明が急がれる。

 「事案は深刻であり、徹底的に事実確認する」。14日の規制委の定例記者会見で、山中伸介委員長は険しい表情で語った。安全の根幹を揺るがしかねない不正行為だとして規制委は今後、中部電本店の社員だけでなく、審査資料のデータを計算した委託先などにも事情を聴く方針だ。
 原子力規制庁関係者は「(検査は)すぐに終わる話ではない。原因究明までは少なくとも年単位の期間がかかる」と説明した。

 不祥事を受けた立ち入り検査は他の電力会社でも例がある。日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)では資料不備やデータの無断書き換えが見つかり審査を中断した。2020年12月に本店を検査。最終的には不合格になった。
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)では21年にテロ対策の不備が相次いで発覚し、規制委は同年4月に事実上の運転禁止命令を出した。原発や本社などに検査に入り、命令を解除したのは約2年半後の23年12月になってからだった。

 中部電は14〜15年に3、4号機の審査を相次いで申請したものの、白然災害対策の審査が長期化した。データの不正操作は、南海トラフ巨大地震の震源域に立地する浜岡原発にとって、特に重要な意味を持つ「基準地震動」の策定過程で起きた。
 なぜ担当者は不正に手を染めたのか。規制庁関係者は「経営陣が再稼働を焦ったことが不正の背景にある」と推測する。中部電の林欣吾社長は24年11月、審査で想定津波や基準地震動がおおむね了承されたことから、施設設計や事故対策の審査も実施するよう要望していた。

 中部電の経営自体は25年3月期の純利益が2020億円となるなど好調だ。一方で原発は稼働しておらず、防潮堤工事など費用がかさむ。ある中部電関係者は「審査が長引き、原子力部門だけが金を生まない」と説明。こうした社内の雰囲気が問題の根底にある可能性もある。
 「うちは大丈夫か」。原発を抱えるある電力会社には今月5日以降、立地地域の住民や自治体関係者から、不正の有無に関する問い合わせが相次いでいるという。

 こうした中、電力会社などで組織する原子力エネルギー協議会は13日、各社に同様の事案がないかどうか報告を求めた。耐震設計の目安となる「基準地震動」の策定プロセスの妥当性や、規制庁への説明内容などを確認。結果を取りまとめ公表する方針だ。
 規制庁幹部は「不正に対する懸念が今後、業界全体に広がることは避けられない」と強調。中部電の不正について「業界全体に水を差す行為だ」と話した。
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