[2026_01_14_09]再稼働と不正 斎藤美奈子(文芸評論家)(東京新聞2026年1月14日)
 
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再稼働と不正 斎藤美奈子(文芸評論家)

 12:00
 審査データに不正があったとして、原子力規制委員会が7日、中部電力浜岡原発3、4号機の再稼働に向けた審査を白紙に戻す考えを示した。
 先週のこの欄で東京電力柏崎刈羽原発再稼働への疑間を呈したばかりなのに今度は浜岡か!
 問題の不正は、基準地震動(地震の揺れの最大想定)が小さくなるようデータを意図的に選定したという悪質なものだった。
 地震動は耐震設計の根幹だから、約10年を費やした審査はこれですべてオジャンとなる。

 不幸中の幸いは、データの不正を原子力規制庁に告発(公益通報)した人がいたこと、また通報を受けて規制委が審査のやり直しに踏み切ったことだろう。
 もし勇気ある告発者がいなかったら規制委も不正は見抜けず、この件は闇に葬られていた可能性が高い。

 不正の背後に見え隠れするのは政府のエネルギー政策の転換だ。
 原発への依存度を可能な限り減らすという福島第一原発事故後の方針を昨年政府は転換し、原発の「最大限活用」に舵を切った。新方針は早くから電力会社に伝えられていたはずで、再稼働を急がされれ ば現場だって焦る。

 規制委は中部電力以外の調査はしないというが、審査を終了した柏崎刈羽原発や泊原発は大丈夫なのか。
 いつどこで地震が起きてもおかしくない日本。
 恐ろしく危ない橋を私たちは渡っている気がする。
(1月14日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)
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