![]() |
![]() |
[2025_09_07_01]東海村長選挙、現職の山田修氏が4回目の当選「原子力と共存共栄していくことに一定の皆さんから支持」(東京新聞2025年9月7日) | ![]() |
![]() |
参照元
22:49 日本原子力発電(原電)東海第2原発が立地する茨城県東海村の村長選は7日投開票され、無所属現職の山田修氏(64)が、いずれも無所属新人で元法律事務所事務局長の大名章文氏(69)、介護福祉士の根本華奈氏(34)を破り、4選を果たした。山田氏はこれまで東海第2原発の再稼働について態度を明確にしていなかったが、今年6月の村議会で容認の立場を表明。再稼働の可否が大きな争点になっていた。投票率は46.94%(前回49.96%)。当日有権者数は3万1313人。(酒井健) ◆「引き続き丁寧な議論を続けたい」 4選を果たした山田修さんは午後9時少し前、村内の事務所で当選祝賀会を開始。集まった支援者一人一人と握手を交わし、喜びを分かち合った。 スタッフから花束を受け取った山田さんは「70周年を迎えた東海村。豊かな村を次の世代にしっかり引き継いでいく大切な4年間にしたい」と抱負を語った。 東海第2原発については「村が原子力と共存共栄をしてきた。この先も共存共栄のまちづくりをしていくということに、一定の皆さんからの支持を受けたと受け止めている」とした。また「周辺5市との関係、県や国との調整もあるので、村長として引き続き丁寧な議論を続けたい」と語った。 ◇ ◆原発再稼働を容認する姿勢を明確にして 山田氏は、原子力の「発電と研究は村の基幹産業」だとして、選挙結果を「(再稼働の是非の)判断材料の一つとしたい」と訴えて選挙戦に臨んだ。「再稼働容認」の態度を明確に示した理由に「村の広域避難計画が3期目に策定できたこと」「国の第7次エネルギー基本計画が原子力発電の最大限の利活用を打ち出したこと」を挙げた。 大名氏は「住民合意のない再稼働は認めない」と公約。原発について「正確な情報を共有し、被ばくや帰還不能の避難になるリスクを村民一人一人が受け入れない限り、再稼働にかじは切れない」と訴え、住民アンケートの実施などを主張していた。根本氏は「どちらかというと賛成」との姿勢を示した上で、「住民アンケートや住民投票をして村民の意見を聞く」としたが、いずれも及ばなかった。 ◇茨城県東海村長選挙開票結果 当 10659 山田修 64 無所属現職 村長 2960 大名章文 69 無所属新人 元法律事務所事務局長 928 根本華奈 34 無所属新人 介護福祉士 ◇ ◇ ◆住民投票を否定し村長選で民意を問う考えに 現職の山田氏は、今回の村長選で初めて東海第2原発の再稼働問題に対して「容認」の姿勢を有権者に明示。村長選を通じて民意を問う考えを示していた。しかし、当選は「村民が再稼働を認めた」ことには直結しない。 山田さんはこれまで、再稼働の是非を判断するための課題の一つに「住民の意向把握」を挙げて態度表明を避けてきた。しかし、その姿勢は選挙直前の6月村議会で一転。「住民投票やアンケートの○×式では決められない。責任者である私がまず考えを示す」と語り、村長選を通じて民意を問う考えを示した。 ◆「山田氏支持=再稼働に賛成」とは限らない しかし、山田氏を支持した村民が皆原発に肯定的な意見を持つわけではない。告示当日の2日、山田氏の出陣式を訪れた70代女性は「全体的には山田さん支持」としつつ、「本当は再稼働してほしくないけれど、(原発関連の仕事で)働いている人もいるから」とつぶやいていた。投票用紙には支持の理由を記す欄はなく、投票しなかった有権者の意思も分からない。 村のあらゆる分野の施策に責任を持つ村長を決める村長選。3期12年にわたって現職を務めてきた山田氏の全体的な実績に、村民が合格点を与えたとの側面も大きいだろう。村民が評価した実績の判断に「再稼働推進」は含まれていない。今回の当選を元に、村民の総意として再稼働が認められたとは即断できない。 原子力の村に住む住民が安心して安全に暮らせると胸を張って訴えることができるのか。再稼働の是非を問う前にするべきことは、多い。 ◇ ◇ ◆落選の大名章文氏「この結果を材料にして再稼働は許されない」 「感触としてはもっと票が伸びると期待していたが、皆さんの期待に応えられず申し訳ない」。午後9時過ぎ、現職に大差をつけられた1回目の開票の速報が事務所に入ると、待機していた大名章文氏は腕組みをしてため息をつき、約20人の支持者を前に頭を下げた。 選挙戦を通じて、東海第2原発について「住民合意がない再稼働は認めない」と訴えた。「(村民の)半分以上の方が投票していないという状況。この選挙の結果を再稼働の是非の判断材料にして再稼働に突き進むなんていうことは許されない」と声を絞り出した。 「原発で事故が起きた場合に備えた実効性のある避難計画ができていない」とも指摘。「再稼働については、住民の判断を仰ぐという手続きを踏んでもらいたいということを訴え続けていきたい」と、力を込めた。(渡部穣) |
![]() |
![]() |
KEY_WORD:TOUKAI_GEN2_: | ![]() |
![]() |