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[2025_09_06_02]洋上風力発電の撤退 制度設計見直しが急務だ(毎日新聞2025年9月6日) | ![]() |
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参照元
04:00 再生可能エネルギー拡大の「切り札」とされる洋上風力発電の開発が出はなをくじかれた。脱炭素の取り組みが後退しないよう、政府は普及策の制度設計を見直すべきである。 三菱商事が秋田県と千葉県の沖合計3海域での洋上風力事業から撤退すると発表した。インフレや円安の影響で建設費がかさみ、採算が取れなくなったという。 2028年以降、運転を開始し、原発2基分に相当する電力を供給する計画だった。中西勝也社長は「建設費が2倍以上に膨らみ、継続が困難になった」と語った。 国は20年から、開発する海域ごとに事業者を公募している。三菱商事は第1弾の入札で圧倒的に安い売電価格を提示し、対象3海域を「総取り」した。当初から実現性を危ぶむ声が出ていた。 政府は再公募する方針だが、導入の大幅な遅れは必至だ。混乱を招いた三菱商事の責任は重い。 今回の撤退では、インフレに対応しきれない公募ルールの問題点が浮き彫りになった。資材価格が高騰しても売電価格に十分転嫁できない仕組みだった。三菱商事の見通しの甘さは否めないが、第2弾以降の公募で落札した大手エネルギー企業なども採算の確保に苦しんでいる。 開発リスクを抑える政策対応が求められる。海域の使用期間を現在の最大30年から延ばせば、事業者の収益確保の機会が広がる。 資材価格の高騰を売電価格に反映させる措置も検討されている。ただ、事業者を優遇し過ぎれば電気料金の大幅な上昇を招き、国民負担が重くなりかねない。 風車など主要部品の調達を輸入に頼る現状では、円安時にコストが膨らむ。国内供給網の構築に向けて産業育成を図るべきだ。 政府は電源構成に占める再エネの比率を現在の2割強から、40年度に4〜5割に引き上げる方針を掲げる。太陽光を新設する余地が乏しいため、風力発電の比率を今の1・1%から4〜8%に拡大することを目指している。 洋上風力は、四方を海に囲まれた日本の地の利を生かせる上、発電能力も大きい。電力の安定供給と脱炭素を両立させるカギを握る。官民挙げて、持続可能な開発の方策を探りたい。 |
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KEY_WORD:風力-発電_:再生エネルギー_: | ![]() |
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