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[2025_02_12_05]東海第二発電所 中央制御室内制御盤における火災の発生について(日本原電2025年2月12日) | ![]() |
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参照元
04:00 様式第18 事故・故障等発生報告書 東二総発第98号 令和7年2月12日 東海村長 山田修 殿 住所 茨城県那珂郡東海村大字白方1番の1 事業所名 日本原子力発電株式会社 東海事業本部東海第二発電所 氏 名 所長 山口嘉温 (公印省略) (中略) 別紙 2025年2月12日 日本原子力発電株式会社 東海第二発電所 中央制御室内制御盤における火災の発生について 1.状況 東海第二発電所は第25回定期事業者検査中のところ,2025年2月4日13時54分頃,東海第二発電所中央制御室内に設置されている移動式炉心内計装※1制御盤(以下,「当該制御盤」という)の隙間より炎(こぶし大)・発煙を確認したことから,二酸化炭素消火器による初期消火を実施すると共に,中央制御室より13時55分に公設消防へ通報(覚知時刻13時55分)した。また,自衛消防隊は14時07分に出動した。 公設消防は,14時09分に発電所に到着(消防車3台(サイレン・赤色灯有),指揮車1台(サイレン・赤色灯有))した。その後,14時28分に現場確認を実施した公設消防により鎮火※2が確認された。また,14時55分に本事象は火災と判断※3された。 ※1:原子炉運転中において,原子炉内の中性子を計測する検出器の校正等を行う設備。 ※2:炎・煙がないこと,再燃のおそれがないことを確認。 ※3:人の意に反した燃焼であること,消火設備を使用したことから判断。 [添付資料−1,2,3] 2.原因 現在,原因について公設消防と合同で調査を行っているが,現時点で判明した事実は以下のとおり。 (1)当該制御盤から炎・発煙を確認した経緯 聞き取りにより確認した結果は以下のとおり。 2025年2月4日,移動式炉心内計装のシェアバルブ※4の作動試験を実施するにあたり,当該制御盤の内部回路にあるスローブローヒューズ※5を大容量のヒューズ※6に交換した。その後,当社社員が中央制御室内に設置されている当該制御盤からシェアバルブのキースイッチの「点火」位置(入状態)を保持したところ,約30秒程度経過後,当該制御盤の隙間より炎・発煙を確認したため,直ちに二酸化炭素消火器で消火した。その後,シェアバルブのキースイッチを「モニタ」位置(切状態※7)に戻した。 ※4:原子炉建屋2階に設置されており,緊急時に検出器が引抜けない場合や格納容器隔離弁が全閉しない場合に限って当該制御盤より作動させケーブルを切断し,格納容器の隔離を行う弁。 ※5:通電によりゆっくりと温度が上昇し溶断するヒューズ。当該ヒューズの容量は0.5Aであり,シェアバルブの動作電流(約5.8A)が流れると0.7秒後に溶断する仕様。 ※6:工場出荷時の試験と同条件で実施するため10Aのヒューズを使用することとした。 ※7:切状態ではあるものの回路の断線確認を行うため,微弱電流(9.1mA)が流れている。 [添付資料−4] (2)当該制御盤の点検結果 当該制御盤内について目視点検を行った結果は以下のとおり。 当該制御盤内は,操作スイッチ,ヒューズ,抵抗器,リレー,端子台,表示灯等で構成されている。これらについて,目視点検をしたところ,当該制御盤内天板部及び端子台(ポリカーボネート製)にすすの付着や変色を確認しており,特に抵抗器に近接する端子台の一部には焼損があることを確認した。なお,その他の構成機器には変色等の異常がないことを確認した。 [添付資料−5] (3)当該制御盤等の過去の更新・点検状況 1)当該制御盤 当該制御盤は第25回定期事業検査中の2011年に設置(設備更新)していることを確認した。その後,現在まで発電所は停止中であり,当該設備は使用していない。なお,2023年11月14日に盤内機器に変色・塵埃の付着等の有無について点検を行っており異常がないことを確認している。 2)シェアバルブ シェアバルブは2009年に交換していることを確認した。その後,2011年以降現在まで発電所は停止中であり,当該設備は使用していないため,点検は実施していない。 (4)端子台の一部が焼損に至った原因調査 (1)〜(3)の調査の結果,端子台の一部が焼損に至った要因について抽出を行った。 1)経年劣化 当該制御盤内部回路を長期間通電状態とすることにより内部回路部品が経年劣化すると,絶縁性能の低下等により火災に至る可能性がある。このため当該制御盤の使用状況を確認したところ,第25回定期事業者検査中の2011年に設置(設備更新)し,その後,現在まで発電所は停止中のため,当該設備は使用しておらず,回路断線確認の観点から微弱電流(9.1mA)を通電しているのみであることから経年劣化が要因となる可能性は考え難い。 2)製造不良 当該制御盤の製造不良(初期不良)がある場合,使用時に異常をきたし火災に至る可能性がある。このため当該制御盤の製造時の試験記録を確認したところ,製造時の試験結果に問題が確認されなかったことから,製造不良が要因となる可能性は考え難い。 3)接触不良 焼損していた端子台の端子部に接触不良がある場合,火災に至る可能性がある。このため端子部の確認をしたところ,端子部はハンダ付けで接続されており,ハンダ不良による接触不良があった際には局所的な焼損となることが考えられるが,焼損していた端子台に接続する複数の抵抗器が一様に脱落していること及び端子部にハンダ不良がないことを目視により確認したことから,端子部の接触不良が要因となる可能性は考え難い。 4)過度な時間の通電 当該制御盤内部回路に通電時間が過度であった場合,内部回路構成機器が発熱し火災に至る可能性がある。このため過度な通電時間の有無について確認するため,工場出荷時の試験要領を確認したところ,試験データを採取するため,短時間で溶断するスローブローヒューズを大容量のヒューズに交換するとともに長時間の通電により抵抗器※8の発熱が継続しないよう3〜4秒以内の通電時間で管理していることを確認した。 これに対し,今回のシェアバルブの作動試験は,前述の聞き取り調査より,スローブローヒューズを大容量のヒューズに交換し,シェアバルブのキースイッチの「点火」位置(入状態)を保持していることが分かっている。 このため,通電状態が継続し,抵抗器が発熱源となって近傍に設置されている端子台が過熱され焼損に至った可能性がある。 ※8:1個当たり定格電力10Wの抵抗器に電流(約5.8A)が流れると約172Wの電力が消費される。 5)過電圧 当該制御盤内部回路への入力電圧が異常に高い場合,当該制御盤内部回路が異常発熱し,火災に至る可能性があるが,当該制御盤内部回路の印加電圧を確認した結果,電圧は判定基準値内であったことから過電圧が要因となる可能性は考え難い。 6)過電流(回路故障) シェアバルブ動作に必要な作動電流が回路の故障により設計許容値を上回ることで抵抗器が発熱し,発火に至る可能性がある。過電流が流れる要因として,短絡・地絡が考えられるが,上流のヒューズが切れておらず,回路モニタで動作試験直前まで異常が確認されていないことから,回路の故障による過電流が要因となる可能性は考え難い。 7)塵埃の堆積 塵埃の堆積により絶縁性能の低下等が発生した場合,火災に至る可能性がある。当該制御盤における塵埃の堆積状況を確認した結果,当該制御盤の冷却ファン本体及び天板の吹出し口に塵埃の堆積は確認されず,外気取込みフィルタについても有意な塵埃の付着及び劣化がないことを確認したことから,塵埃の堆積が要因となる可能性は考え難い。 以上より,本事象はシェアバルブの動作電流(約5.8A)が流れると0.7秒後に溶断する仕様であるスローブローヒューズを今回のシェアバルブの作動試験にあたり,工場出荷時の試験にあわせ一時的に大容量のヒューズに変更したこと及び通電状態が継続したことにより,抵抗器に異常発熱が生じ,近接する端子台が焼損に至ったものと推定する。 [添付資料−6] (5)シェアバルブの作動試験手順の調査 今回のシェアバルブの作動試験は,制御盤工場出荷時の試験方法を参照して実施したことが確認されている。なお,工場出荷時の試験はスローブローヒューズを大容量のヒューズに交換するとともに,通電時間を3〜4秒以内で実施することを定めている。今回のシェアバルブの作動試験時において,スローブローヒューズを大容量のヒューズに交換したこと及び通電時間の管理がされていなかったことが火災の要因と考えられることから,今後シェアバルブの作動試験手順の妥当性を含めた調査を実施していくこととする。 3.対策 今後,原因究明した後,必要な対策及び水平展開を講じる。 4.その他講じた措置 発電所員に当該事象について周知及び注意喚起を行うとともに,協力会社に対しても臨時の防火部会※9を開催し,同様に事象の周知及び注意喚起を行った。 ※9:当社および協力会社の防火担当者で構成された部会 5.環境への影響 本事象に伴う人身災害の発生及び周辺環境への影響はなく,モニタリングポストの指示値にも変動はなかった。 [添付資料−7] 以 上 ![]() ![]() (後略) |
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KEY_WORD:東海第2-中央制御室-出火_:TOUKAI_GEN2_: | ![]() |
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