[2024_07_09_04]地震、津波、テロ…跳ね上がる原発コスト 負担は消費者へ(毎日新聞2024年7月9日)
 
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地震、津波、テロ…跳ね上がる原発コスト 負担は消費者へ

 06:00
 日本が原子力政策を推進してきた論拠のひとつがコストの安さだった。新たに始まった「長期脱炭素電源オークション」を通じた原発への資金的な支援はその前提を覆す策といえ、電気料金を支払う消費者にも負担がのしかかることになりそうだ。
 それまで「安い」とされてきた原発のコストが跳ね上がったきっかけのひとつは、2011年の東京電力福島第1原発事故だ。発電コストに事故が起きた場合のリスク対応などを含めた「社会的費用」が上乗せされ、事故後にできた新規制基準では、厳格な地震や津波、テロ対策などが義務づけられた。
 その結果、電力各社の安全対策費は大きく膨らんだ。例えば、今年9月ごろに再稼働する予定の東北電力女川原発2号機(宮城県)の安全対策費は約7100億円。原子力規制委員会の審査を通過して再稼働への準備を進める東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)は1兆1690億円に達する。
 1キロワット時あたりの発電コストも上昇した。04年時点では5〜6円だったが、20年時点には11・5円以上に跳ね上がっている。
 福島に目を移すと、さらに費用は莫大(ばくだい)だ。事故処理費用の想定は23兆円を超える。東電が被災者に支払う賠償金総額の見積もりも見直しが繰り返され、東電以外の大手電力と事故後に参入した新電力も負担することになった。前人未到の作業となる廃炉も出口が見えておらず、費用は想定から上振れする可能性が高い。
(後略)
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