[2024_04_24_10]原子力規制委員会委員長定例会見 令和6年04月24日 速記録(原子力規制委員会2024年4月24日)
 
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原子力規制委員会委員長定例会見 令和6年04月24日 速記録

 04:00

原子力規制委員会記者会見録
 ● 日時:令和6年4月24日(水)14:30〜
 ● 場所:原子力規制委員会庁舎 5階記者会見室
 ● 対応:山中委員長

会議映像

<質疑応答>
○司会 それでは、定刻になりましたので、ただいまから4月24日の原子力規制委員会定例会見を始めます。
 皆様からの質問をお受けします。いつものとおり、所属とお名前をおっしゃってから質問をお願いいたします。御質問のある方は手を挙げてください。
 タシマさん。

○記者 共同通信社のタシマです。よろしくお願いします。
 今日の定例会合の議題3でありました日本原燃の埋設施設の覆土に関することでお伺いいたします。原燃のほうからベントナイトの比率を下げた覆土をするという話が出ていましたが、これについて委員長のまず受け止めをお願いいたします。

○山中委員長 今日、日本原燃の埋設施設の覆土の種類を変更するという、そういう確認申請が出てきて、その内容について、公開の場で、まず意見交換をした上で、今後の進め方を検討しようということで委員会としては一致をしたというところで、まずは日本原燃の方針、あるいは覆土を変更して性能が維持できるのかどうかというところについて、公開の場で確認をしてほしいというふうに思っております。

○記者 ベントナイトの比率が下がったことで透水性が上がってしまうんじゃないかというような懸念もありますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

○山中委員長 覆土のベントナイトの含有量が減るということは、透水性に影響する可能性ございますので、この辺りはきっちりと許可で認められた透水性が維持できているのかどうかということを、きちっと事業者説明する必要があるかなというふうに思っています。

○記者 今の原燃が申請を出している内容で、許可が出た段階の水を通さないというような性能が発揮できると委員長はお考えでしょうか。

○山中委員長 これはもう覆土の組成が変わっているわけでございますので、これはもう実験的に証明していただくしかないかなという、私自身はそんな認識でございます。許可が出た数値と、ほぼ一致するような透水性能が出るということを実験的に証明するしかないかなというふうに思います。

○記者 実際実験をするとなると、なかなかこれまでの事例もあまり少ないようですし、そこのところ難しいかなと思うのですけれども、どのようにお考えでしょうか。

○山中委員長 これはもう許可どおり、きちっと自ら証明をしていただく必要があるかなというふうに思っています。その辺り意見交換の中で方針なり、今こういう値が得られていますというような報告があるんだろうなというふうに思っておりますけれども、それはもう会合次第かなというふうに思っています。

○記者 すみません。こういう話ってヒアリングですとか面談とかで大体カタがつくのかなと思っていたのですけれども、あえて公開の会合で日本原燃側の意見を聴取する意義はどのように考えていらっしゃいますか。

○山中委員長 これはもう昨年からヒアリングでやり取りがあったというのは、報告を受けておりますし、恐らく透水性能の件についてのやり取りが、それなりに時間がかかったのだろうなというふうに理解をしています。
 その上で、やはり公開の場できっちりと日本原燃の説明を聞いたほうがいいだろうという事務方からの提案でしたので、委員会で議論して、それがよかろうということで、そういう形で進めることとしたわけです。

○記者 分かりました。ありがとうございました。

○司会 ほかに御質問いかがでしょうか。
 フクチさん。

○記者 朝日新聞のフクチです。
 今質問で出た原燃の関係ですけども、今日の定例会の中ですと、伴委員からは、コストを理由に下げているのであれば、安全文化の問題でもあろうという話があったのですが、まだ原燃側からどういった理由なのかというのは、公になっているわけではないですが、仮にコストを理由で割合を下げているということだった場合は、委員長も安全文化としてはやはり問題にするべきことだと思われますか。

○山中委員長 これはもう、伴委員が言われているような重大な要素を含んでいるのかどうかというのは、もう公開の場で日本原燃の説明を聞いてからの判断かなというふうに思っておりますし、透水性能が許可と一緒のものが出るのであれば全く問題ございませんので、その辺り説明聞いてからかなというふうに思っています。

○記者 分かりました。
 先ほどの質問の中でもあったのですけど、実験的に証明していただくしかないということで、なので少なくとも現時点ではまだ疑義が残るというか、懸念があるというか、安全性に対してはまだいかがなものかという、委員長としてはどういうふうに認識されていますか。

○山中委員長 覆土の性質というのは、もう組成によってかなり変わってくる可能性もございます。特に透水性能に影響を及ぼすベントナイトの組成を減らすという、そういう提案をなされているわけですから、やはりきちっとした実測値を取っていただいて、許可と同程度の性能が出ているということを説明していただく必要があるかなというふうに、委員長個人としては考えております。

○記者 これは関連でもう一点。制度設計の部分もあるかとは思うのですが、確認申請の中でこういった配合率が変わるという申請があったわけですけども、本来だったら、事業許可で、もう一度議論し直してもいいものなのかなと思うのですが、そういう確認申請の中で出てきたということ自体は、問題視はされていませんか。

○山中委員長 確認申請が出てきて、きちっと確認ができればそのまま事業を遂行していっていただくことになろうかと思いますし、そういう意味でも公開の場で、きちっと事業者の意見を聞いた上で改めて対応を考えたいというふうに思っています。恐らく説明次第でケース・バイ・ケース、対応が決まるかというふうに思っています。

○記者 そうすると、確認の場で、仮に配合率を変えるとか、様々、議論の進み方次第によっては、確認申請をし直すとか、申請行為そのものをまた出し直してもらうとか、そういったこともあり得るということですか。

○山中委員長 可能性としてはありますし、どういう数値が出てくるのか、あるいはまだ数値的なものが出てこないのか、それ次第かなというふうに思います。

○記者 ありがとうございます。

○司会 ほかにいかがでしょうか。
 マサノさん。

○記者 フリーランス、マサノです。
 引き続き、今の点なのですけれども、もしもコストのことなのであれば、客観的なデータとして、コストのほうもどれぐらいだったのが、どれぐらいコストが上がったというようなことも明らかにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○山中委員長 透水性能がきちっと許可どおり出ていれば、コストの問題というのは、事業者が考えることでございますので、規制側から何かコメントするということは特に公開の場でも考えておりませんし、私も特にコメントございません。

○記者 では、次の質問をさせていただきますが、福一の調査のまとめに関してですけれども、原子力規制委員会へのフィードバックについて、杉山委員も少し意見を言われていたと思うのですけれども、これは分かってきたことというのは規制に取り入れていく、バックフィットしていくという、そういう理解でよろしいのでしょうか。

○山中委員長 これはもう今日中間まとめが出ましたけれども、必要であればもうタイムリーに、規制の判断をこれまでもやってきておりますし、これからも必要があれば規制に取り入れてバックフィットするということは考えていきたいというふうに思っています。それは事項次第かなというふうに思います。

○記者 今日の議題ではないのですけれども、先日伺いました英米仏の国際原子力労働者研究INWORKSについて、防護企画課のほうに確認していただいたところ、技術基盤グループのほうは昨年から認識しているんだということと、放射線審議会では、IAEA(国際原子力機関)とかICRP(国際放射線防護委員会)が刊行物を発行したときに取り入れを検討するんだけれども、一つ一つの論文については取り上げていないということだったのですね。
 ただ、今回の知見は単に論文のワンオブゼムというよりも、この仮説とされてきた低線量被ばくについて証明ができたというデータで、大きなエビデンスだと思うので、これは原子力規制であるとか、原災指針を考える上でも重要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○山中委員長 恐らく基盤グループのほうで判断をされて、重要であれば技術情報検討会のほうに報告をされて議論することになろうかと思います。
 私も少し記憶が定かでなくて、マサノさんの言われた会議の報告を少し調べてみたのですけれども、日本国内でもまだ様々な議論がされているようでございますので、必要であれば技術情報検討会のほうで取り上げて、新知見として何か議論していく必要があるかということについては検討をしていくことになろうかというふうに思います。
 一方、放射線審議会での議論の内容については、担当課からお答えをさせていただいた内容になるかなというふうに思っています。

○記者 次の質問をさせていただきます。月曜日に屋内退避の運用に関する検討チームが開催されまして、その中で駿河市の担当課長から安定ヨウ素剤の確実な配布・服用について検討に加えていただきたいという要望が出ていました。これについて規制庁のほうからは、5キロは事前配布、30キロ圏内は緊急時に配布という、いつものとおりの回答があったんですけれども、この間、住民のほうから聞こえてくる声というのは、5キロ圏内だからといって事前配布されていてもそれを常時持ち歩いてるわけじゃないし、それを置いたまま家屋が倒壊した後、取りに行けないとか、30キロ圏内だと人数に限りのある自治体が、その複合災害の中に保管場所に取りに行って配布の場所に行くというのはちょっと実現性、乏しいんじゃないかという声がどんどん聞こえてきていたんですね、この間。
 委員長はこれについてどう思われますでしょうか。

○山中委員長 ヨウ素剤の配布というのは重要な事項だというふうに思っておりますし、屋内退避の状態を変更する、いわゆる解除であればいいのですけれども、避難に変更するというような場合には当然そのヨウ素剤の服用ということも事象としては必要な項目になってくるかと思いますし、これは検討チームで検討していただく重要な項目の一つかなという、派生項目にはなりますけれども項目の一つだという認識ではおります。

○記者 もう一つなのですけれども、宮城県の担当課長の方からは、志賀地域における被災状況調査について質問があったのですけれども、規制庁のほうから孤立地域が14か所あって、家屋が倒壊した事例もその中ではあったということと、あとはホームページにあるから見てくださいということで詳しい説明がなかったのですね。しかし、原災指針は原子力規制委員会のクレジットで出しているものですから、改めて被災状況調査、志賀地域に関しては、原子力規制委員会としてもヒアリングをするのがよいような気がするのですが、そういった予定、おつもりはありませんでしょうか。

○山中委員長 ヒアリングの予定はございませんけれども、当日宮城県の出席者の中からそういうコメントが出たということは承知をしておりますし、当日内閣府のほうから調査結果についてのお答えと、やはり自然災害に対する対応の強化、あるいは支援の強化ということは必要だというお答えをされておりますので、当然それはそうかなというふうに思っておりますし、当然原子力の複合災害が同時に起きれば、やはり防護施設というのがきちっと機能しないといけないので、今回幾つかの施設においてはそういうトラブルが生じたということも認識しておりますので、その辺り今後志賀地区だけではなくて、いろいろな地域で防護施設の強化、あるいは原子力複合災害に対する対応についての助言については精力的にやっていきたいなというふうに思っております。

○記者 すみません。もう一つだけ聞かせてください。
 東海第二原発の防潮堤の施工不良についてなんですけれども、規制庁は日本原電が公表する前にコンディションレポートというので報告を、品質保証活動の一環として聞いていらっしゃったということが分かったのですけれども、その中で取水口を支えている二つの柱、南北にある二つの柱のうち、南基礎はコンクリートが充填されておらず、北基礎は鉄筋の加工が岩盤まで達さなくて70センチ高止まりしていると。これが内部告発者によれば、変形してしまっているので引き抜くこともできない状況を隠して、安藤ハザマに下請けが報告したというようなことで心配があってその内部告発があったというような背景もちょっと分かったのですけれども、これについては規制庁も非常に厳しいやり取りを審査会合の中でやってらっしゃいましたけれども、今後、これについて委員長自身はどのぐらいの関心を持って御覧になりますでしょうか。

○山中委員長 まずCR(状況報告)が起案されて、CAP(是正処置プログラム)会議の中で事業者自身の議論がなされたというのは検査官、きっちり見ているということは報告は受けておりますし、検査官自身が日常検査の中でこういう工事の様子というのをその後厳しく監察しているという報告は受けております。
 一方、改めて申請がなされて審査、かなり厳しくされているというふうな報告を受けておりますし、この点については非常に特殊な構造でございますので、きっちりと強度は保っていただかないと防潮堤の強度が保てませんので、この辺りしっかりと審査の中で確認をしてもらいたいというふうに思っています。

○記者 長くなってすみません。もう一つだけすみません。
 同じく東海第二で当初1740億だったのが、いろいろあって3500億円になるというようなことで、経理的基礎がもう不足しているんじゃないかということが地元の県議さんの指摘だったんですけれども、先程のベントナイトの価格高騰に関しても同じことだと思うのですけれども、経理的基礎を考える上で当時許可したときよりもこの経済状況、物資の価格の状況で再度改めて経理的基礎について考え方を整理していくということも物価高の今、必要ではないでしょうか。

○山中委員長 今のところ、経理的基礎を改めて審査で再確認するということは考えておりませんけれども、今後の工事の状況等、あるいは審査に対する対応の状況等でそういうことも必要になってくると委員会として判断すれば、そういうことも行うかもしれません。

○記者 ありがとうございました。

○司会 ほかに御質問いかがでしょうか。
 ハシグチさん。

○記者 NHKのハシグチです。よろしくお願いします。
 原燃の埋設処理施設に戻るんですけれども、素人考えからすると性能を充たしているとしても止水性を高めるという観点からは含有率が高いほうがいいのかなと思うのですけれども、あえてそこで量を減らすという必要というのはどういうことがあると考えてますか。

○山中委員長 これはもう事業者の判断なので、組成を変更したということの要因については現状では分かりません。恐らくその点も含めて公開の場で組成の変更、あるいは性能が変わらないのか、その2点についてはきっちりと確認していくことになろうかと思います。

○記者 ベントナイトの価格も10年間で2倍ぐらいに急騰しているということですが、逆にコスト以外の理由ってあるのですか。

○山中委員長 これはもう事業者の判断なので、分かりません。あくまでも我々は透水性能がきちんと担保されているかどうか、これはもう確認をしないといけないところですので、その組成でどうしても事業者がやりたいというのであれば、透水性能が許可の段階と同じであるということを証明していただければ、そのまま確認をするということになろうかと思います。

○記者 分かりました。
 あと福島第一原発の、今朝所内電源が停止したという報告があったと思うのですけれども、どういうふうな今報告でどこまで分かっているか、もしあればお願いします。

○山中委員長 ALPS処理水(多核種除去設備等処理水)の希釈放出設備に接続されている電源系統が停止したという報告を受けております。その原因についてはまだこれから要因調査をしないといけないところでございますけれども、電源停止に伴って放出設備はきっちりと停止をしたという状況であるという報告を受けておりますし、現状では電源は復旧をして、今後改めて作業を開始する準備を進めているところだろうというふうに思っております。

○記者 同じような時間帯にけが人も出たということで、あれけがの程度とかって何か聞いていますか。

○山中委員長 けがの程度は分かりません。また、関連性についても恐らくこれから調査するその結果次第で、電源停止とけが人の発生というのが関連しているかどうかについては今後の調査次第かなというふうに思っています。

○記者 あと1点、先週規制庁の事務方のほうで敦賀と志賀のほうに現地調査に行っていると思うのですけれども、特段何か報告等は来ていますでしょうか。

○山中委員長 敦賀2号機についてはまだ報告ございません。志賀についてはまだ確認事項というのは先週こういうことを確認いたしますということについてはお話をさせていただいたとおりでございますけれども、まだ具体的にどうだったかということについては報告、まだございませんので、また改めてプレスの皆さんに説明できるかと思います。

○司会 ほかに御質問、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の会見は以上としたいと思います。ありがとうございました。

−了−


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