[2024_06_20_07]東海第2原発 防潮堤施工不備 規制庁「造り直し大前提」 審査会合で原電に方針再検討を要求(東京新聞2024年6月20日)
 
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東海第2原発 防潮堤施工不備 規制庁「造り直し大前提」 審査会合で原電に方針再検討を要求

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 日本原子力発電東海第2原発(茨城県那珂郡東海村)の防潮堤工事の施工不備問題で、対策に関する会合が18日、原子力規制庁で開かれた。原電が不備の全容調査の結果を報告したが、規制庁側は「不十分」との見解を示し、問題となっている取水口付近の鋼製防護壁の一部建て直しを含め方針の再検討を求めた。(長崎高大)
 原電側は、7月中旬ごろまでに新たな方針を示すと回答した。施工不備は昨年6月、防護壁の南側を支える基礎部分の柱に、コンクリートの充てん(じゅうてん)不足や鉄筋の変形を確認。原電は北側でも同様の不備があるとして、音波を使う「音響探査」と、部分的に掘削して確認する「コア抜き測定」により調査した。
 18日の会合で原電側は、不備の全容が把握できたとして調査結果を報告した。目視できる部分は未充てんの範囲や鉄筋の変形箇所を確認できた一方、地盤と接している柱の外側については「不確かさが含まれる」とした。
 規制庁側は調査が部分的であることや、音響調査の信頼性に疑問があることなどから「調査結果は不十分」と指摘。柱の外側も掘削してさらに調査することは可能かを質問したが、原電側は「安全性の観点から厳しい」と答えた。
 これを受け、規制庁の担当者からは「結論から言って、防潮堤の構造体としては期待できない」「完成したとして、地震と津波にどれぐらい耐えられるのか分からない。既に規制基準から外れている」などと厳しい意見が出た。
 原電側は、不確かさが残る部分は「(リスクを見積もる)保守的な評価をしながら補修する」との方針を繰り返したが、規制庁側は「抜本的に設計を見直してほしい。造り直すことが大前提になる。今回はそれだけ大きな不具合」と再検討を求めた。
 これに対し原電側は「建て直しといったところももう少し検討する」「7月上旬から中旬ぐらいには社内で方針を決め、説明をしたい」と応じた。
 東海第2の再稼働を目指す原電は、防潮堤を含めた事故対策工事の完了目標を9月としているが、施工不備の影響で一部の工事は中断が続いている。原電の村松衛社長は「非常に厳しい状況」との認識を繰り返し、東海村など周辺自治体の首長からは「新たな工期見通しを早く示すべき」との指摘が出ている。
 事故対策工事の工期について、規制庁の担当者は本紙の取材に「工期の変更は聞いていない。間に合うかどうかはコメントする立場にないが、原電側が9月といっている以上、それまでにやってもらうしかない」と話した。
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