[2024_06_07_08]東海第2原発の事故対策工事、9月完了「困難」の見方 周辺6市村長、原電に新たな工期求める(東京新聞2024年6月7日)
 
参照元
東海第2原発の事故対策工事、9月完了「困難」の見方 周辺6市村長、原電に新たな工期求める

 07:54
 防潮堤設置で施工不備があった日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の事故対策工事を巡り、地元自治体の首長から、原電が目標とする9月完了は「困難」との見解が相次いでいる。施工不備の影響で一部工事がストップする中、原電は見通しを「非常に厳しい状況」と繰り返すのみだが、首長たちからは「新たな見通しを早く示すべきだ」との声も上がる。(竹島勇)

 東海村など周辺6市村長でつくる「原子力所在地域首長懇談会」は5月27日、施工不備の現場を視察した。各首長はその後、定例会見の場や本紙の取材に視察の感想などを述べ、事故対策工事の9月完了については全員が困難との意見で一致した。
 6市村は東海村と水戸、日立、常陸太田、ひたちなか、那珂各市で、東海第2の再稼働では県とともに事前了解が求められる。このうち懇談会座長の山田修村長は視察後、報道陣に「結構大変な不具合と感じた。私は9月に終わるとは思わない」と話し、水戸市の高橋靖市長、日立市の小川春樹市長もそれぞれ会見で同様の見解を述べた。

 常陸太田市の宮田達夫市長は本紙の取材に「工事不備はひどかった。9月には終わらない」と指摘。ひたちなか市の大谷明市長は質問書に「南北両基礎の工事規模から考えても9月には終わらない」と答えた。
 那珂市の先崎(まっさき)光市長も取材に、9月完了には否定的な見方を示した。先崎、大谷両市長は理由として、原子力規制委員会が原電の対策計画などを審査中であることも挙げた。
 施工不備は昨年6月に見つかり、一部工事は中断が続く。しかし原電は今年に入っても、事故対策工事全体の完了見通しを「9月が目標だが非常に厳しい状況」と繰り返し、首長たちからはこうした姿勢にも批判が集まる。
 大谷市長は原電に対し「さまざまな声や評価を真摯(しんし)に受けとめ、工期の見通しは示すべきだ」と注文。宮田市長は「東海第2にとって地元対応の第一義的存在の懇談会にまず見通しを示すべきだ」と主張した。
 高橋市長は会見で「(原発)賛成派も反対派も私たち行政も、(原電との)信頼関係が崩れていくことを自覚してほしい」とくぎを刺した。
 一方、原電の坂佐井豊・常務東海事業本部長は視察後の会見で「9月を目標に進めているが非常に厳しい状況」と従来の見解を踏襲したうえで「工期を変更する事態が仮にあったならば、速やかにご連絡する」と述べた。
KEY_WORD:東海第2_鋼製防護壁_不備_:TOUKAI_GEN2_: