[2024_02_16_01]能登半島地震と志賀原発(北陸電力) 原発事故が起きた時の避難計画は絵にかいた餅、絵空事だった 「地震大国のこの国では原発は危ないから止めよう」 先崎(まっさき)千尋〔茨城県、元瓜連(うりづら)町長、瓜連町は合併により今は那珂市です〕(たんぽぽ2024年2月16日)
 
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能登半島地震と志賀原発(北陸電力) 原発事故が起きた時の避難計画は絵にかいた餅、絵空事だった 「地震大国のこの国では原発は危ないから止めよう」 先崎(まっさき)千尋〔茨城県、元瓜連(うりづら)町長、瓜連町は合併により今は那珂市です〕

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   (その2)

 運転停止中でよかった志賀原発

◎ 毎日、テレビや新聞は能登半島地震の被害状況や避難生活のことを伝えている。
 地震の大きさもさることながら、被災地が半島という事情もあり、道路や鉄道は寸断され、港も隆起現象によりほとんど使えない。電気や水道が止まり、通信手段もままならない。
 孤立した集落も多数あり、多くの地域では片付けも出来ずにいる。被災者の生活はいかばかりかと心が痛む。それにしても原発関連の情報は圧倒的に少ない。マスコミは何をしているのだろうか。

◎ 私がこの地震の報道を見ていて最初に心配したことは、半島中部にある北陸電力志賀原発がどうなっているかだった。
 1月5日の『日本農業新聞』は気象庁の情報として、志賀原発のある志賀町香能で揺れの大きさを示す加速度が2826ガルだったと伝えていた。この数値は東日本大震災の時の最大値2934ガル(宮城県栗原市)に匹敵する大きさだ。原発建屋付近はそれよりも少なかったようだが、それでも原子力規制委員会が認めた上限を超えていた。
 ちなみに、東海第二原発の基準地震動は1009ガルだ。これまでの情報では、今回の地震は数千年に一度の規模。原発の近くで内陸の活断層も動いた可能性が高いようだ。
 今回の地震で同原発は変圧器配管が破損し、約2万リットルの絶縁油が漏れ、一部は海に流出。使用済み燃料を冷やす貯蔵プールの水も飛散し、1号機では一時冷却ができなくなった。原発周辺の空間放射線量を測定するモニタリングポストも15か所で測定できなくなった。
 この実測値で住民の屋内退避や避難開始などを決めるが、復旧の見通しは立っていないという。原発近くの海岸も3m隆起している。変圧器に大電流が流れ、絶縁油が発火したら大事故になった可能性がある。
 稼働中でなくてよかった。

 絵にかいた餅の避難計画

◎ 原発事故が起きた時の避難計画は、各自治体が決めることになっている。
 志賀町ではどうか。「志賀町原子力災害避難計画」によれば、「主たる移動手段は自動車。自家用車で避難できない人はバスを使う。
 避難ルートは国道、県道など。自衛隊車両や海上交通手段も使う」となっている。
 今回の地震では原発事故は起きなかったのでこの避難計画は適用されなかったが、道路は各所でズタズタ。海路も使えない。避難しようにも動けない地区があちこちにあった。電波が届かなければ安否の確認すらできない。

◎ もし志賀原発が稼働していて事故を起こしたら、原発周辺の人たちは逃げようにも逃げられなかった。
 避難計画は絵にかいた餅、絵空事だったことが証明されたのではないか。
 この避難計画は原子力規制委員会の審査対象外であり、専門家のチェックは入らない。それでいいのだろうか。東海第二原発でも同じだ。規制委員会の審査対象とするべきだ。

◎ 地震学会の公式見解には「地震の予知はできない」とある。今回の能登半島地震はまさにそのことを示している。地震は、いつ、どこで、どの程度の規模で起きるか分からないのだ。
 「地震大国のこの国では原発は危ないから止めよう」と考えればいい。
 原発に「想定外」は危ない。たかが電気を起こすのに危険極まりない原発は要らない。
 茨城県内では、既に8261万kw以上、原発200基分の太陽光発電が行われている。
  (『スペースマガジン』2024年2月号「葦の髄から」第90回より了承を得て転載)

 ※先崎氏の「崎」の字は、本来「たつさき」です。
  メールソフトから「機種依存文字」と指摘されるのでやむなく「崎」と表記させていただきます。
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