[2024_02_10_04]敦賀2号機審査停滞 原電、断層説明不足改善せず(東奥日報2024年2月10日)
 
参照元
敦賀2号機審査停滞 原電、断層説明不足改善せず

 04:00
 2度の中断をへて昨年9月に再開した日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の原子力規制委員会による安全審査が停滞している。原子炉直下の断層が「活断層」かどうかが最大の焦点だが、規制委に説明不足を指摘され、本格的な審査に入れない状況だ。

 規制委は9日、2号機の審査会合を約2カ月ぶりに開いた。規制委は、この断層の現地調査を昨年12月に実施しており、この日は、現地調査やそれまでの審査で規制委が指摘した項目について、原電が回答を用意.してくるはずだった。
 しかし原電は「準備ができなかった」としてこの日の回答を見送り、回答の一部を3月、大半を5月に行うと表明した。このため、議論はほぼ進まなかった。
 通常の審査会合は、審査を受ける電力側が資料を作って規制委に説明することで進んでいく。しかしこの日は原電の回答がないため、規制委が自ら資料を作成して原電に説明する異例の対応をとった。審査官によるとこうしたケースは「ほぼ初めて」という。
 原電の回答が不十分なのは、この日だけではない。現地調査の前に行った審査会合でも、審査官から「科学的な根拠に基づく説明になっていない」「基礎的な情報が抜けている。適切な資料を示してほしい」などの苦言が相次いだ。
 審査が停滞する背景には、規制委の有識者調査団が2015年、この断層が「将来活動する可能性がある」とする報告書をまとめていることがある。原発の新規制基準では、活断層の真上にある原発の運転を禁じており、原電がこれを覆さなければ2号機は廃炉になる見通しだ。
 原電は同年に2号機の再稼働を目指して規制委に審査を申請し、審査の中で「活断層ではない」と主張してきた。しかし、原電がこの断層のデータを無断で書き換えていたことが20年に発覚。規制委は審査を中断した。
 立ち入り調査をへて22年12月に審査が再開されたが、今度は審査資料に計約1300件もの書き換えや誤りが見つかり、規制妻は23年4月に審査を再中断。次に同様の不備があれば審査の打ち切りもありうると原電に「最後通告」した。原電は同8月に資料を再提出し、審査が再開されたものの、説明不足は改善されない状況が続く。審査官は「これでは審議が続いていかないので、前倒しでできることはやってほしい」と原電に改めて苦言を呈した。【土谷純一、写真も】
KEY_WORD:敦賀原発データ書換_:TSURUGA_:廃炉_: