[2024_02_05_03]【能登半島地震の液状化】砂丘の裾野で被害顕著 地盤ずれる「側方流動」も(静岡新聞2024年2月5日)
 
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【能登半島地震の液状化】砂丘の裾野で被害顕著 地盤ずれる「側方流動」も

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 能登半島地震では、震源から100キロほど離れた石川県羽咋市から内灘町にかけての沿岸部で、液状化による大きな被害が出た。砂丘の内陸側の裾野に当たる地盤の緩い場所で顕著で、広い範囲で地盤が水平方向にずれる「側方流動」という現象も起きた。専門家は「日本海側には似た地形の所が他にも多くある」と、同様の被害に注意を呼びかける。

 ▽新潟、鳥取でも

 液状化は、地震の揺れにより、かみ合っていた地盤の砂粒が外れて、液体のように流動化する現象。東京電機大の石川敬祐准教授(地盤工学)によると、日本海沿岸部の多くの地域では風で飛ばされた砂が積もって砂丘を形成している。砂丘の海側は吹き付ける風で砂が押し固められるが、砂丘を越えた内陸側は大きさがそろった砂が緩く積もっており、強い揺れで液状化しやすい。
 今回の地震による新潟市の液状化も同様の理由で起きたと考えられ、2000年の鳥取県西部地震でも、沿岸部で被害が出ているという。

 ▽地割れや隆起

 石川氏は1月6〜8日に現地を調査。内灘町では、液状化によって3階建ての建物が1メートル以上沈み込んだり、路面が隆起したりしているのを確認した。地盤の側方流動によって小学校の校庭には地割れが生じていた。周辺では150〜200メートルの範囲で地盤が内陸側へ数メートルずれたとみられる。
 内灘町では他にも、日本建築学会の調査で側方流動による道路の傾きが、地盤調査や建物検査を手がける「ジャパンホームシールド」(東京)の調査で、神社や公園に地盤がずれて地割れが生じているのが見つかった。
 同町の北にあるかほく市では、地盤の流動に加え、隆起によって入り口が壁のようになった住宅もあった。いずれも砂丘の内陸側の裾野に当たる地域だった。

 ▽土地改変

 石川氏やジャパンホームシールドによると、この地域の近くには河北潟という潟があり、砂丘から砂を削り出して、一部を干拓したり、住宅地を開発したりした経緯がある。砂を削り出した地域では、地下水が浅くなったために、より液状化しやすくなった。今回の強い揺れで液状化した地盤は比較的標高の低い河北潟側に流れ、上に載っている住宅や道路ごと水平方向に動いたという。
 石川氏は「側方流動の被害が多かった所は、土地改変の履歴があるような印象を持った。今後の復興のためには、被害があった場所の標高や地盤の特徴、地下水の分布を詳しく調べる必要がある」と話している。
 1月31日に開かれた災害関連学会の報告会で、鳥取大の小野祐輔教授(地震工学)は「住宅地が横方向に移動すると、敷地の境界も動くため復旧復興が難しくなる」と指摘。「各地で液状化のリスクを示すマップは作られていても、液状化した後にどのくらい地盤が流れてしまうかは分からない。その点をどう危険度の評価に反映するかが課題だ」と述べた。

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