[2024_01_20_06]予測できない「地球の時間」能登半島地震と志賀原発 青野由利・客員編集委員(毎日新聞2024年1月20日)
 
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予測できない「地球の時間」能登半島地震と志賀原発 青野由利・客員編集委員

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 石川県の北陸電力志賀原発に取材に行ったことがある。東京電力福島第1原発の過酷事故が起きるより前、2000年代後半だったと思う。
 当時から直下や近辺にある断層は議論の的だった。これらの断層はどの程度の地震を起こす可能性があるのか、原発はそれに耐え得るのか。一時は運転差し止めの判決が出たこともあり、評価は二転三転してきた。
 12年には原子炉直下に活断層が通っている疑いが指摘され、その後「廃炉か」と思われた。
 ところが昨年3月、原子力規制委員会は「敷地内の断層は活断層ではない」と判断を一転させた。昨年11月には現地を視察した経団連の十倉雅和会長が「一刻も早く再稼働できるよう願っている」と前のめりの発言をしている。
 そこに起きたのが今回の能登半島地震だ。
 志賀原発でもトラブルが続出し、外部電源の一部も途絶えた。福島第1原発の事故を思い起こした人も多いだろう。
 これでも十倉さんは「一刻も早い再稼働を」と言えるのだろうか。

 「地球の時間」と「人間の時間」

 こうした一連の経緯をたどる時、改めて感じるのは「地球の時間」と「人間の時間」の違いをもっと謙虚に考える必要があるのではないか、ということだ。
 日本で初めて原発が営業運転を開始したのは1966年7月、まだ60年にもならない。志賀原発は1号機の運転開始が93年7月30日で30年を経過したところだ。
 一方、地震は数千年、数万年、時にはそれを超えるオーダー(周期)で起きる。しかも地震を起こす断層は至るところにあり、いつ、どう動くかを正しく予測することは不可能だ。プレート境界で起きる巨大地震も同じだ。
 政府の地震調査委員会によると、今回の地震を起こしたのは能登半島の北東から南西に延びる150キロ程度の逆断層で、震源から両側に向かって滑りが進行したと考えられる。
(後略)
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