[2023_12_28_02]東海第2原発 東海村が広域避難計画策定 茨城県南3市に避難先130カ所 支援方法など実効性課題(東京新聞2023年12月28日)
 
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東海第2原発 東海村が広域避難計画策定 茨城県南3市に避難先130カ所 支援方法など実効性課題

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 日本原子力発電東海第2原発での重大事故に備え、立地自治体の茨城県東海村は27日、広域避難計画をホームページで公表した。避難先は全村民分約130カ所の調整がついたという。ただ、支援の必要な人や自家用車を持っていない人が避難に使うバスなどの手配の見通しは立っていない。原発事故に地震などが重なる「複合災害」への対応にも触れておらず、実効性が確保されているとはいえない。(長崎高大)
 広域避難の手順には「ターミナル方式」を採用した。原則として自家用車を使い、小学校区ごとに決められた避難経由所に向かう。避難経由所は石神、真崎の各地区が常総運動公園(守谷市)、村松、中丸、舟石川・船場の各地区が取手競輪場(取手市)、白方地区がつくばみらい市役所伊奈庁舎または谷和原庁舎。避難者はここから避難所計約130カ所に向かう。
 村では2013年から計画策定に取りかかり、16年に計画案をまとめた。さらに見直しを進め、27日の村防災会議で計画として了承し、公表した。策定開始から決定まで10年かかった。
 案からの主な変更点について、山田修村長は避難所数の増加、ターミナル方式の採用、感染症対策の3点と説明。「案は早々に策定したが、実効性という意味でその後訓練や検証を重ね、丁寧にプロセスは踏んだ」と述べた。
 一方、課題であるバスや福祉車両の手配など、支援が必要な人への対応はまだ不十分と認めた上で、山田村長は「避難手段や交通の問題は国や県にやってもらわないと無理だ。最終的には説明責任も含め、国や県に対応してもらいたい」と述べた。また、案で記載していた避難所を今回は非公表にした。村は「民間施設が18カ所含まれているため」と説明した。
 広域避難計画の策定義務があるのは東海第2原発から30キロ圏内の14市町村。策定を終えたのは、笠間市、常陸太田市、常陸大宮市、鉾田市、大子町に次いで6自治体目となった。新たな策定は、20年3月の大子町以来約4年ぶり。
 未策定自治体のうち、日立市は年度内を目標に掲げて素案を公表している。残る7市町は見通しが立っていない。
 県は県議会12月定例会で、避難所の1人当たり面積が3平方メートル以上になったことに伴って増加した必要避難所のうち、東海村を除く12万5千人分はまだ確保できていないと説明しており、全14市町村の広域避難計画が出そろうまでの道のりはまだ遠い。
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