[2023_12_22_05]福島第1原発の事故処理費用が約2兆円増額、増える分は国債で…東京電力社長は「福島への責任果たす」(東京新聞2023年12月22日)
 
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福島第1原発の事故処理費用が約2兆円増額、増える分は国債で…東京電力社長は「福島への責任果たす」

 20:52
 政府は22日、東京電力福島第1原発事故に伴う賠償などの対応費用の増額を決めた。東電の小早川智明社長が経済産業省を訪れ、斎藤健経産相に「私が先頭に立って福島への責任を果たす」と誓った。

 ◆増える1兆9000億円は国債で

 今回の決定で、政府の国債発行額は1兆9000億円増の15兆4000億円に膨らむため、斎藤氏は小早川氏にさらなる経営改革を要請。10月に福島第1原発の汚染水の浄化処理設備で起きた被ばく事故を受け「緊張感を持って廃炉作業に取り組んでほしい」と求めた。小早川氏は「信頼を失わないよう、基本動作を徹底する」と応じた。
 賠償や廃炉、除染などの事故処理費用の総額は1兆9000億円増の23兆4000億円となった。賠償は1兆3000億円増の9兆2000億円。昨年末に避難者への賠償指針を見直したほか、8月に開始した処理水の海洋放出に伴う風評被害への支払いに3000億円を見込む。
 国が国債を発行して東電に資金支援を行い、賠償分については将来的に東電と電力各社からの負担金で返済する。廃炉や除染費用も含めた東電の負担総額は、従来の約16兆円から増える見通しという。(渡辺聖子)

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 ◆原発関連予算が大幅アップ

 原発に関する予算は、最大限原発を活用することを打ち出している政府方針を受け、大幅に増えた。
 次世代型原発の研究開発費として、冷却材にヘリウムガスを用いる「高温ガス炉」の実証炉には前年度当初比で6倍近くとなる274億円を、中性子を使う「高速炉」の実証炉には同3倍以上の289億円を計上した。2024年度以降に予定される安全性や性能に関する試験などにかかる費用も盛り込まれた。開発を担う中核企業はいずれも三菱重工。予算を複数年度に分け、翌年度以降に計上する「国庫債務負担行為」を用い、3年で高温ガス炉と高速炉合わせて計1600億円以上措置した。
 このほか原子力の安全向上のための技術開発に25億円、原発立地自治体への交付金として760億円を盛り込んだ。(砂本紅年)
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