[2023_12_20_09]関電、「和歌山火力発電所」新設中止を発表…原発再稼働で必要性薄れ (読売新聞2023年12月20日)
 
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関電、「和歌山火力発電所」新設中止を発表…原発再稼働で必要性薄れ

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 関西電力は19日、和歌山市で計画していた「和歌山火力発電所」(総出力370万キロ・ワット)の建設を中止すると発表した。脱炭素に向けた取り組みが求められる中、原子力発電所の再稼働が進み、二酸化炭素(CO2)を排出する火力発電所を新設する必要性が薄れていた。
 和歌山火力は、政府の審議会で1997年に計画が承認され、関電は98年に住友金属工業(現日本製鉄)から和歌山市臨海部の埋め立て地を購入した。液化天然ガス(LNG)を燃料とし、総出力は原発4基分に相当する、関電では最大規模となる火力発電所を建設する計画だった。しかし、電力需要が伸び悩んだことなどから、2004年に建設を中断。足もとでは、世界的な脱炭素の潮流が強まっていることに加え、送電線整備などにも多額の費用が見込まれることから、採算が合わないと判断した。
 計画地の一部(約15万平方メートル)は、26年度をめどに、企業を誘致するエリアに再整備する方針で、関電の斉藤公治エネルギー・環境企画室長は「和歌山県などと協議していく」と話した。
 今回の中止に伴い、2024年3月期連結決算で、約1230億円の特別損失を計上し、業績予想については、最終利益を従来予想から1150億円引き下げ、2900億円に下方修正した。それでも、原発再稼働による火力発電の燃料コスト削減効果などで、過去最高益を確保する見通しだ。
 関電は今年9月、国内の電力大手では最多となる原発7基が稼働する体制となった。今後も電源構成における火力発電の依存度を下げるとともに、廃炉原発の建て替えも視野に、次世代原子炉の開発なども進めていくことで、脱炭素分野での競争力の強化を図る。(寺田航)
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