[2023_11_09_02]東海第2工事不備 原電が説明、隠蔽は否定 村議会、迅速な報告を要望(東京新聞2023年11月9日)
 
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東海第2工事不備 原電が説明、隠蔽は否定 村議会、迅速な報告を要望

 07時57分
 日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働に向けた安全対策の防潮堤工事で不備が見つかった問題で、原電の担当者が8日、東海村議会に出席し、経緯などを説明した。公表が不備発覚の4カ月後になった理由を「原因や対策がまとまった段階で公表しようと考えた」とし、隠蔽(いんぺい)の意図を否定した。一方、議会の特別委員会が「不採択」とした再稼働関連の請願の審議やり直しは見送りが決まった。(長崎高大)

 原電側は東海第2の山口嘉温所長ら5人が、全員協議会に出席した。不備について、防潮堤の取水口付近の防護壁を支える基礎部分で6月に、コンクリートの充てん(じゅうてん)不足や鉄筋の変形が確認された経緯を説明。原因を、基礎周囲の粘性の強い土が膨らんだり崩落したりした影響とした。
 10月16日に原電が公表するまでの間、東海村議会や周辺首長が東海第2を視察した際も不備は伏せられており、議員からはこうした点について指摘が相次いだ。原電側は「隠しているということは一切ない。判断は正しかった」と釈明。議会側は「信頼関係に関わる話なので、今後は何かあったら地元議会にはすぐに報告してもらいたい」と要望した。
 原電側は、来年9月に完了予定としている安全対策工事のスケジュールへの影響は、「現在精査している」と述べるにとどめた。
 議会は全員協議会後、原子力問題調査特別委を開催。今回の不備を受けて提出者が再審議を求めていた、再稼働に反対する請願1件への対応を協議した。この請願を「採択するべき」とした議員らはやり直しを主張したが、病欠した委員長の代理の寺門定範副委員長(新政とうかい)は「一事不再議(1度議決した案件は同一会期中に再審議しない)の原則に基づき、全会一致でない限り再度審議しない」と述べ、見送られることに決まった。
 再稼働に関する請願は5件提出されており、特別委での審議ではこれまで賛成の立場の2件を「採択」、反対の2件を「不採択」としている。請願は12月の定例会の本会議で正式採択が予定され、特別委は議長を除く全議員で構成するため委員会の判断がそのまま踏襲される見込み。
 この日の全員協議会と特別委を傍聴した那珂市の植田泰史さん(77)は、原電の説明に「設計の根幹に関わることで、もっとしっかり説明すべきだ。脆弱(ぜいじゃく)な防潮堤が大災害につながれば、東海村だけではなく周辺市にも影響が大きい」と指摘。村議会については「原発に反対する議員が少なく、反対意見が数の力でつぶされている。安全は多数決では決まらない」と話した。
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