[2023_10_10_01]太平洋はゴミ捨て場ではありません 「安全なら海に捨てる必要はない、安全でないなら海に捨てるべきではない」 「全米海洋研究所協会」の汚染水海洋放出反対声明(2022.12.12) 10/4(水)第121回東電本店合同抗議でのアピール (上) (2回の連載) 佐々木敏彦(東電本店合同抗議行動実行委)(たんぽぽ2023年10月10日)
 
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太平洋はゴミ捨て場ではありません 「安全なら海に捨てる必要はない、安全でないなら海に捨てるべきではない」 「全米海洋研究所協会」の汚染水海洋放出反対声明(2022.12.12) 10/4(水)第121回東電本店合同抗議でのアピール (上) (2回の連載) 佐々木敏彦(東電本店合同抗議行動実行委)

(1) 東京電力と日本政府は、明日(10月5日)、第2回目の放射能汚染水をまた太平洋に捨てようとしています。
 私は、絶対に許すことはできません。そういう思いで「全米海洋研究所協会」の反対声明を紹介します。
 放射能汚染水の海洋投棄に反対する国会議員に、反日中国を利するものだということが「国会」で言われていますが、聞くに堪えない罵倒の俗物的言辞は軽くあしらって、正々堂々と反対してゆきましょう。
 思えば、今年1月の東電本店合同抗議行動に、ニュージーランドの方が参加しました。たった一人で東電の正門で民族衣装を纏い、はだしのまま抗議のプラカードを持ち歌っていました。
 当然私たちと合流し、東電への「申し入れ」もしました。そのプラカードには、「太平洋はみんなのもの。核廃棄物を捨てるな」と書いてあったと思います。

◎ 全くその通りです。太平洋はゴミ捨て場ではありません。
 汚染水の海洋投棄に懸念を示しているのは、国連総会で日本国による汚染水の海洋投棄を批判した“親中国”ソロモン諸島の首相だけではないのです。
 その主張は、「安全なら海に捨てる必要はない、安全でないなら海に捨てるべきではない」というような共通のコンセンサスになっています。

 そのような主張を6つほど紹介します。

1.海洋放出について、太平洋の島国は理解を示していると認識されているが、かつて米国の水爆実験で強いられた苦痛もあり、フランスの核実験場タヒチなど、水面下では意見が割れています。
 ロイターは8月23日、「太平洋の首脳全員が同じ立場を取っているわけではない」、とする記事を掲載しました。
 さらに、8月24日、ニュージーランドのメディアRNZは「データには『危険信号』があり、中にはIAEAを批判する者もいた」とし、16カ国と2地域が加盟する太平洋諸島フォーラム(PIF)の一部の原子力専門家らの懸念を伝えています。

2.ハワイ大学ケワロ海洋研究所所長のロバート・リッチモンド氏は「海に放出されたものは、1カ所にとどまることはできない」とし、声明文では「放射性物質を運ぶ太平洋クロマグロが2011年の事故後6カ月以内にサンディエゴの海岸に到達した」、とする研究事例があることが指摘されている、と紹介しました。
 太平洋はつながっており、そこで生き、生活している人々を犠牲にしてはならない、と私は痛感しました。

3.米国内の100以上の研究所が加盟する全米海洋研究所協会は、「安全性の主張を裏付ける、適切かつ正確な科学的データが欠如している」とし、日本の海洋への放出計画に反対する声明を昨年12月に発表しました。

4.PIF事務総長ヘンリー・プナ氏による「すべての関係者が科学的手段を通じて安全であることを確認するまで、放出はあってはならない」とするコメントが、米誌「サイエンス」にも掲載されました。

5.8月24日、「NIKKEI Asia」は米ミドルベリー国際研究所のフェレンク・ダルノキ=ベレス氏の「今からでも遅くはない」とする寄稿を公開し、同氏は、「東京電力と政府にその気があれば対処できる」とし、環境中に放出せず、コンクリートで固化させる代替案を提案しています。

6.日本政府と東電が放射能汚染水を海洋投棄した8月24日、ドイツ連邦環境省のレムケ環境大臣がコメントした。
 「環境大臣として、私は放射性物質の海へのいかなる追加放出にも批判的です。海洋放出は、ほかの手段がまったくない場合の最後の手段です。どうしても避けられない場合には、科学的知見に基づいて行われなければなりません。そのようにしてのみ、人や環境への被ばく影響をできる限り小さくすることができます。何よりプロセスが透明であるべきです。福島の方々が、十分に情報を得て意思決定に参加する必要があります。これらのことを、私はすでに4月のG7札幌環境大臣会合で、日本政府に対して求めたのです。」

(2)さて、今日の本来の私の発言である全米海洋研究所協会の『反対声明』について、詳しく紹介します。

≪全米海洋研究所協会が海洋放出に反対声明!≫

◎ 全米海洋研究所協会は「前例のない放射能汚染水の太平洋への放出」と明確に規定し、放射性廃棄物の貯蔵・保管に関する「安全性の結論に欠陥がある」と、痛烈に批判しています。
 「東京電力と日本政府が提供したデータは不十分であり、場合によっては不正確である。サンプリングプロトコル、統計デザイン、サンプル分析、仮定に瑕疵があり、その結果、安全性の結論に欠陥が生じ、処分の代替手段をより徹底的に評価することができなくなるのである。放射性廃棄物を安全に封じ込め、貯蔵し、処分するという問題に対処するためのあらゆるアプローチが十分に検討されておらず、海洋投棄の代替案は、より詳細かつ広範な科学的厳密性をもって検討されるべきである。」

 その上で放出を中止し、他のアプローチを追求せよ!と、日本政府と東電に要求を突きつけました。

 「私たちは日本政府に対し、前例のない放射能汚染水の太平洋への放出を中止し、海洋生物、人間の健康、そして生態学的・経済的・文化的に貴重な海洋資源に依存する地域社会を守るための他のアプローチを、より広い科学界と協力して追求するよう強く求めます。」
 (全米海洋研究所協会の声明 2022.12.12)
  (下)に続く
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