[2023_07_31_05]処理水の海洋放出「反対」強調 福島県の相馬双葉、いわき市魚協 経産相は従来の説明繰り返す(福島民報2023年7月31日)
 
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処理水の海洋放出「反対」強調 福島県の相馬双葉、いわき市魚協 経産相は従来の説明繰り返す

 東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含んだ処理水の海洋放出計画を巡り、西村康稔経済産業相は30日、福島県相馬、いわき両市で相馬双葉漁協、いわき市漁協の幹部らと相次いで面談した。両漁協の代表者は放出への反対姿勢を改めて強調した。西村氏は国際原子力機関(IAEA)による処理水の安全性に関する包括報告書の内容などを説明した上で「皆さんが安心して漁業を継続できるように取り組む」などとして理解を求めた。ただ、意見交換では、これまでの説明を繰り返すにとどまった。
 西村氏が各漁協と面談するのはIAEAの包括報告書の公表後、初めて。経済産業省は、海洋放出への理解醸成に向けた説明の一環としている。
 相馬双葉漁協の今野智光組合長は「810人の組合員、家族、仲買業者の不安を払拭できる対策を、責任を持って講じてほしい」と要望した。面談後には「(国の説明は)現状維持で、大臣が来たからといって理解は進まない」と指摘した。
 いわき市漁協の江川章組合長は直近の水揚げ実績が原発事故発生前の水準を下回っている状況を説明し「完全な復興には至っていない」と訴えた。「海洋放出に反対の立場はいささかもゆるがない」と強調した。面談後、いわき市漁協の出席者は「国が配布した資料はこれまでと全て一緒だった」と明かした。
 政府と東電は2015(平成27)年、県漁連に「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分もしない」と約束している。西村氏は面談後、報道陣の取材に約束を順守する考えを改めて示し、「私が責任を持つ」と述べた。
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