[2023_07_25_01]1審判決は「事実認定に誤り」 原発事故巡る東電株主代表訴訟 控訴審第1回口頭弁論で旧経営陣(福島民報2023年7月25日)
 
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1審判決は「事実認定に誤り」 原発事故巡る東電株主代表訴訟 控訴審第1回口頭弁論で旧経営陣

 東京電力福島第1原発事故を巡り、津波対策を怠ったために会社に損害を与えたとして、東電の株主46人が旧経営陣5人に対し、総額約22兆円を東電へ賠償するよう求めた株主代表訴訟の控訴審第1回口頭弁論は24日、東京高裁(木納敏和裁判長)であった。勝俣恒久元会長ら4人に総額13兆3210億円の支払いを命じた昨年7月の一審東京地裁判決に対し、旧経営陣側は地震の規模は想定外で、事故は防げなかったと主張。「一審の事実認定には誤りがある」と訴えた。株主側は5人全員の責任認定と賠償の増額を求めた。
 一審判決は2002(平成14)年に国の機関が公表した地震予測「長期評価」に基づき、巨大津波を予見できたと指摘。「最低限の津波対策を速やかに指示すべきだったが、取締役としての注意義務を怠った」として、勝俣元会長の他、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の4人に賠償を命じた。小森明生元常務は常務、原子力・立地本部副本部長への就任が原発事故の1年前で、対策を講じる時間はなかったと判断した。
 事故を巡る旧経営陣個人の責任を認める司法判断は初で、一審の賠償命令額は国内の民事訴訟で最高とみられる。旧経営陣4人と株主側の双方が控訴した。
 この日の弁論で旧経営陣側は長期評価の信頼性を否定し、事故は防げなかったと主張。株主側は「津波対策が長期間放置された。不作為は極めて悪質だ」と批判した。
 次回は11月1日午後1時30分から。
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