[2023_07_16_04]岸田首相、全漁連会長と面会へ 月内にも、処理水放出の理解要請(福島民友2023年7月16日)
 
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岸田首相、全漁連会長と面会へ 月内にも、処理水放出の理解要請

 岸田文雄首相は、東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出計画を巡り、今月中にも全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長と面会する方針を固めた。放出に伴う安全性の確保と風評被害対策を徹底するとの政府方針をトップとして直接伝え、理解を要請する。面会結果も踏まえ「夏ごろ」としている放出開始の時期を判断する構えだ。政府関係者が15日、明らかにした。
 坂本氏は14日、西村康稔経済産業相から放出計画に関する国際原子力機関(IAEA)の包括報告書について説明を受けた後、報道陣に「安心が得られない限り反対の立場を崩すわけにはいかない」と話す一方で「(計画の)科学的な安全に関しては一定程度理解できた」との見解を示した。
 首相は、自ら決意を示すことで歩み寄りを引き出す余地があるとみて、面会を判断したとみられる。
 面会は、首相が中東歴訪から帰国する19日以降となる。首相は、IAEAが放出計画について国際的な安全基準に合致し、人や環境への影響は無視できるほどわずかだと評価したと説明。米国や韓国政府などの理解を得ていると強調し、水産物への風評被害の防止に政府を挙げて取り組むと伝える見通しだ。
 処理水を巡っては、政府と東電が2015年に「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と県漁連に約束しており、放出前に地元や漁業関係者の理解を得られるかどうかが最大の焦点となっている。
 ただ、政府は放出が遅れれば第1原発の廃炉作業への影響が避けられないとして「夏ごろ」に放出を始める方針を維持している。9月は首相が東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議や国連総会に出席するため国内を空ける日程も多く、政府内では開始時期を8月下旬とする案が浮上している。
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