[2023_06_29_09]処理水放出設備、来週にも合格見通し 規制委、最終検査を開始(福島民友新聞2023年6月29日)
 
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処理水放出設備、来週にも合格見通し 規制委、最終検査を開始

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を巡り、原子力規制委員会は28日、現地で放出設備を最終確認するための使用前検査を始めた。現地での確認作業は30日までの予定。早ければ来週にも検査合格となる見通しで、海洋放出に向けた設備面の準備が全て整うことになる。
 28日に記者会見した規制委の山中伸介委員長は「指摘事項がなければ、(現地確認の終了後)1週間程度で終了証が交付される」と説明。規制委は書類作成などを経て、検査結果を7月5日の規制委定例会合に報告した上で、7月上旬にも東電に検査合格の終了証を交付する。
 処理水を巡っては、国際原子力機関(IAEA)も近く、放出計画の評価を盛り込んだ包括的な報告書を公表する見通し。IAEAのグロッシ事務局長と岸田文雄首相は7月4日に面会する方向で調整しており、政府が「夏ごろ」とする海洋放出に向け、大詰めの段階を迎えている。
 今回の使用前検査では放出設備のうち、トラブルが発生した際に放出を停止するための緊急遮断弁や処理水の移送設備、海底トンネルなどの最終確認を行い、真水と海水を使用し、機器の総合的な性能や流量、漏えいがないかなどを確かめる。東電が12〜26日に行った検査前の試運転では、トラブルなどは確認されなかったという。
 海洋放出計画を巡っては本県などの漁業者から依然として懸念の声が上がっており、放出を前に理解醸成を図れるかが課題となっている。放出の計画では、多核種除去設備(ALPS)で除去できない放射性物質トリチウムの濃度が、国の基準値の40分の1未満になるよう処理水を大量の海水で希釈。海底トンネルを通じて1キロ沖から放出する。
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