[2023_06_19_08]原発処理水の海洋放出「夏頃」変えず 汚染水の発生量減っても見直さず 福島第一原発<図解> (東京新聞2023年6月19日)
 
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原発処理水の海洋放出「夏頃」変えず 汚染水の発生量減っても見直さず 福島第一原発<図解>

 東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)のタンクにたまり続ける汚染水を浄化した後の水の海洋放出は、設備の工事が大詰めを迎えている。一方で、汚染水の発生量は減っており、東電はタンクが満杯になる時期を見直し、2024年に延ばした。直近でのタンク容量の逼迫が回避されても、政府や東電は「夏頃」とする放出開始時期を変えようとはしない。(渡辺聖子)

 ◆残る作業は放出口のふたなどのみに

 放出設備の工事は、配管や海底トンネルなど主な設備が完成。後はトンネル掘削に使ったシールドマシンをクレーン船で放出口から引き上げ、放出口にふたをする作業などを残すのみとなっている。
 5月から6月にかけては、海外からの視察が相次いだ。首脳会談で視察団の派遣が決まった韓国からは専門家らが来日。国際原子力機関(IAEA)も、放出前最後の現地調査を終え、近く報告書を公表する。
 東電と政府は2015年に、福島県漁連に「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束した。しかし、漁業者の海洋放出反対は今も根強い。

 ◆タンク満杯の時期は2024年2〜6月頃

 東電が保管の限界とするタンクの容量は約137万トン。東電は4月、満杯になる時期を、従来の「2023年秋ごろ」から「2024年2月頃〜6月頃」に変更した。建屋内に流れ込む地下水や雨水の量を抑える対策で、汚染水の発生量が減ったためだ。
 福島第一廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は会見で、「処分は先送りできない課題」と述べ、放出開始時期を変更する考えはないことを強調した。 

 ◆放出前に調べるのは30種類

 東京電力は、処理水に含まれる放射性物質の濃度が放出基準を満たすかどうか、放出前に29種類の核種と、多核種除去設備(ALPS)で処理しても取り除けないトリチウムの計30種類を調べる。5月の原子力規制委員会の認可により、2種類を外して新たに「鉄55」を加え、計30種類となった。半減期や環境への影響度合いなどから判断された。
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