[2023_06_14_03]岸田首相 パラオ大統領と会談 福島第一原発処理水に理解求める(NHK2023年6月14日)
 
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岸田首相 パラオ大統領と会談 福島第一原発処理水に理解求める

 岸田総理大臣は日本を訪れている太平洋島しょ国、パラオのウィップス大統領と会談しました。岸田総理大臣が、福島第一原発にたまる処理水を海に放出する計画について理解を求めたのに対し、ウィップス大統領は日本は安全性確保のため真摯(しんし)に取り組んでおり、信頼していると伝えました。
 会談で、岸田総理大臣は、ウィップス大統領が13日に東京電力福島第一原子力発電所を視察したことに触れ「太平洋島しょ国の中で地理的に近いパラオの大統領から、日本の真摯な対応に、理解と信頼を表明いただいたことは大変心強い」と述べました。
 そのうえで、福島第一原発にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画について「日本の総理大臣として、人の健康と海洋環境に影響を与える形での放出は決してしないということを改めて約束する」と述べ、理解を求めました。
 これに対しウィップス大統領は「科学と技術をあげて安全性の確保のために真摯に取り組んでいることがよく分かった。日本の皆さんを信頼している」と伝えました。

 処理水めぐる外交は

 処理水を薄めて海に放出する計画に対しては、中国が「人の健康や安全に関わる重大な問題だ」などとして強く反発し、韓国でも懸念の声が根強くあります。
 また、太平洋の島しょ国などでつくるPI=太平洋諸島フォーラムも「すべての関係者が安全性を立証するまで放出すべきでない」と訴えています。
 一方、日本政府は国際社会に対し「安全性を最優先に取り組んでいて健康や環境に影響を与えるものではない」と繰り返し説明し理解を求めてきました。
 こうした中で、ことし2月には、太平洋島しょ国、ミクロネシアのパニュエロ大統領が日本を訪れ、岸田総理大臣に「日本側の説明は透明性が高く、かつてのような懸念やおそれは持っていない」と伝えました。
 パラオのウィップス大統領は、13日は福島県を訪れ、東日本大震災のあと外国の国家元首としては初めて、東京電力福島第一原子力発電所を視察しました。
 パラオは、1994年にアメリカから独立したあと、自国の軍隊は持たず国防の権限をアメリカに委ねるなど、密接な関係を築いています。
 また、中国が巨額の援助などを通じて太平洋島しょ国への影響力を拡大させる中、パラオは台湾との外交関係も維持しています。
 日本も無償資金協力などを通じて深い関わりがあることから、外務省幹部は「パラオは中国のプレッシャーを強く感じており日本との関係を重視している」と話しています。
 このため、ウィップス大統領が処理水の放出計画に対する見解を示すのかが注目されます。
 一方、処理水の放出をめぐっては、IAEAのグロッシ事務局長が来月上旬に日本を訪れ包括的な評価をまとめた報告書を岸田総理大臣に手渡す方向で調整が進められています。
 岸田総理大臣はグロッシ事務局長との会談内容も踏まえて、放出のタイミングを最終判断するものとみられます。
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