[2023_06_02_05]珠洲市の震度6強の地震、その後で 珠洲に原発ができなくてよかった……しかし 心配はいまだ廃止決定しない志賀原発の存在 本当によかったといえるのは志賀原発の「廃炉決定」の声を聞いた時なのだと思う 藤岡彰弘(「命のネットワーク」)(たんぽぽ2023年6月2日)
 
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珠洲市の震度6強の地震、その後で 珠洲に原発ができなくてよかった……しかし 心配はいまだ廃止決定しない志賀原発の存在 本当によかったといえるのは志賀原発の「廃炉決定」の声を聞いた時なのだと思う 藤岡彰弘(「命のネットワーク」)

 
◎ 5月5日に珠洲市で起きた震度6強の地震後、珠洲原発計画が撤回されていて本当によかったと、たくさんの方から声を寄せていただいた。私も心底そう思う。
 しかしその一方で、同じ能登半島で12年間も停止したまま、いまだに廃炉の決定をみない志賀原発への懸念と、60年の延命措置によって、住民の不安な暮らしを繰り延べさせ続ける政府・電力会社の姿勢に強い憤りを覚える。

◎ 能登半島先端部から半島の付け根部分にかけて、わかっているだけで、長さ10kmを超える断層が12本も走っており、志賀原発は、その「断層地帯」の真っただ中にある。
 敷地内の断層が活断層でないと規制委員会が判断したところで、何の安心材料にもなりはしない。

◎ 2003年、粘り強い反対運動によって、関西電力、中部電力、北陸電力の3社はついに珠洲原発計画の凍結を発表した。
 その反対運動には、「能登半島のエネルギー基地化反対」を掲げて、志賀原発や七尾火電(石炭)に反対する人々も珠洲に駆けつけ、ともに励ましあって白紙撤回を勝ち取ったのだ。
 住民の根強い反対に屈して計画を撤回したと認めたくない電力側は、電力需要が当初の見込みを下回ると判断したために計画を見直したと発表した。だが、それもあながち嘘ではなかったに違いない。

◎ あれから20年。電力需要はずっと右肩下がりだ。長期停止中の原発を動かす必要など、もうどの電力会社にもない。
 とりわけ北陸電力は最大発電能力500万kWそこそこで足りている状態。それなのに志賀原発は2機合わせると180万kWを超える。
 そんな余計な原発の電気を一体どこに売るというのか。
 これ以上無駄な再稼働に向けての費用を使わず、一日でも早く廃炉を決定する以外に、赤字経営を立て直す方法などありはしない。

◎ 志賀原発が事故を起こせば、半島の先にいる珠洲の人々は逃げ場がなくなってしまう。
 避難計画では、漁船を使って海上へ逃れることになっているが、海が時化(しけ)れば船は出せず、高齢者たちは漁港までの「足」さえ持たない人たちばかり。
 こんな無責任な避難計画のまま、志賀原発は建ち続けてきたのだ。
 珠洲原発が地震の続く半島の先端にできなくてよかった。
 しかし、珠洲の人たちにとっても、本当によかったといえるのは、志賀原発の「廃炉決定」の声を聞いた時なのだと改めて思う。
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