[2023_05_29_02]岸田・尹両首脳による汚染水放出の共謀 韓国視察団の福島視察は単なる「見学」 韓国政府・メディアは「汚染水」と呼称しているのに日本のメディアは隠蔽している 報道各社は「風評被害」と表現するのを止めよ 「メディア改革」連載第127回 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)(たんぽぽ2023年5月29日)
 
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岸田・尹両首脳による汚染水放出の共謀 韓国視察団の福島視察は単なる「見学」 韓国政府・メディアは「汚染水」と呼称しているのに日本のメディアは隠蔽している 報道各社は「風評被害」と表現するのを止めよ 「メディア改革」連載第127回 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

 
1.岸田文雄首相が議長として19日から21日まで開催し先進七カ国首脳会議(G7広島サミット)は、ロシアと戦争中のウクライナ・ゼレンスキー大統領が20日に電撃訪日し、21日にG7首脳と会談し、戦争継続の支援を得た。核問題は置き去りにされ、ゼレンスキー・サミットと化した。

◎ 私は17日から21日まで広島でサミットを取材した。
 広島は全国から動員された警察官が制圧しに戒厳令のようだった。
 サミット取材は、「紙の爆弾」「進歩と改革」各7月号に書いた。
 29日の朝日新聞によると、27〜28日実施の世論調査で、「サミットで岸田首相が議長として指導力を発揮した」と答えた人は59%に達した。
 メディアがサミット礼賛報道を続けた結果、岸田氏は解散総選挙へ動き出したが、長男の岸田翔太郎秘書官が昨年末、官邸で親族と忘年会を開いたことが発覚して、「サミットの成果が帳消しになった」(星浩氏)のは皮肉なことだ。

◎ G7首脳声明には、既に発効している核兵器禁止条約への言及がなく、昨年11月、インドネシアで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)首脳宣言で明記された「核兵器の使用や、使用の脅しは許されない」という文言もなかった。

◎ 広島サミットの拡大会合には尹錫悦大統領も参加した。日本政府が働きかけて、岸田氏は21日、尹大統領と共に、平和公園内にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑に参拝した。各社は両首脳の参拝を称賛しているが、この碑にある「韓国人」は1945年8月6日には存在していなかった。

2.岸田氏は5月7〜8日に韓国を訪問し、尹氏との首脳会談で、東京電力福島第一原発から出ている放射能汚染水の海洋放出に関し、韓国の専門家らによる視察団の現地への派遣に合意した。
 共同通信は<海洋放出は、韓国内では今回の2国間会談で議論するのは難しいとの見方もあった。視察団受け入れは韓国で一定の評価を受けるとみられる>(長尾一史記者)と伝えたが、典型的な提灯記事だ。

◎ 韓国の視察団は原発や放射線分野の専門家ら21人で構成。21日に来日、23、24両日は福島原発を訪問し、汚染水を浄化する多核種除去設備(ALPS)や、処理水を保管するタンクを中心に確認した。韓国側は、国際原子力機関(IAEA)が6月末までに公表を予定する安全性に関する評価を踏まえ、立場を明確にする考えだ。
 韓国・朝鮮日報は「中途半端な視察だった」と批判。また、世論調査でも、視察は役に立たないと答えた人が半数を超えた。

◎ 日本の報道各社は、「処理水」(Treated Water)という用語を使っているが、尹氏は首脳会談でも従来通り「汚染水」(Contaminated Water)と表現した。韓国の報道機関も同様だ。

◎ 韓国政府は「汚染水」を「処理水」に変更することを検討したが、政権党から異論が出て今も「汚染水」と表現している。
 政権党「国民の力」のホ・ウナ議員もフェイスブックで「原子力安全員会には『汚染水』という名称を変更する計画はない」と述べた。
 「最大野党の議員らが処理水放出に反対する集会を開いている」(TBS)というのは間違っている。汚染水放出に反対する集会だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/73e99c5bff8c16062433099c0e0f3787a45e6c2f

◎ 中国外務省の汪文斌報道官は10日の定例記者会見で、「日本政府は『汚染(処理)水は安全で無害だと毎回言っているが、そうならば日本側はなぜ、直接国内に放出したり農業・工業用水として使ったりしないのか」と指摘した。韓国でも同じ見方がある。

◎ 12日の共同通信によると、韓国政府の国務調整室の朴購然第1次長は記者会見で、原発事故を受けた日本の水産物の輸入規制解除について「問題がないと立証され、国民が情緒的に受け入れる段階になるまでは、解除はない」と強調した
 26日のテレビ朝日は、汚染水放出めぐり、韓国で反対運動が相次いでいると報じた。<最大野党「共に民主党」が実施し、発足式には党代表の李在明氏も出席して「なぜ日本側に立って免罪符を与えるのか」などと尹政権の対応を批判した>
https://www.youtube.com/watch?v=12G0SRfbcZY

◎ 福島中央テレビは同日、<処理水をめぐり外交上の大きな動きがあった1週間>を振り返った。
 <韓韓国の名誉教授に話を聞いたところ、日本が韓国に対し、海洋放出の許しを得るための視察だ」という批判的な見方が大部分を占めているようだ>
https://news.yahoo.co.jp/articles/961511fe63644b3af687385137c8927864750d30

◎ 日本のメディアは相変わらず、汚染水問題も「風評被害」と揃って報じている。
 福島第一原発事件が発生した直後に出された「原子力緊急事態宣言」は今も発令されたままだ。
 炉心溶融に何もできない現状を「風評」と呼ぶ報道機関は解散すべきだ。
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