[2023_05_08_03]石川県珠洲市周辺の地震(震度6強)と志賀原発立地地域の住民保護は? 福島第一原発事故後に策定された政府の原子力災害対策指針の運用・問題点 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕(たんぽぽ2023年5月8日)
 
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石川県珠洲市周辺の地震(震度6強)と志賀原発立地地域の住民保護は? 福島第一原発事故後に策定された政府の原子力災害対策指針の運用・問題点 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕

 
◎ 2023年5月5日14時42分頃、能登半島先端付近で地震が発生し石川県珠洲市で震度6強を観測した。
 震源は志賀原発から70kmほどの距離だが、局地的な地震だったようで、志賀原発が立地する志賀町では震度4で原発の異常は報告されなかった。
 しかし考慮しなければならないのは、福島第一原発事故後に策定された原子力災害対策指針(以下「指針」)である。

◎ 「指針」は、2012年10月に策定された時点では、立地都道府県で震度6弱以上の地震が発生した場合は「警戒事態」とされていた。
 警戒事態の判断条件は17項目あり、原子炉の運転中と停止中で分かれる項目があるが、地震や津波は運転中であるかどうかを問わず該当し、住民防護のための準備を開始しなければならないと決められている。
 これは原子炉は停止していても冷却機能が失われれば重大事態に至るという事故の教訓から当然だろう。
 つまり当初の「指針」では今回の地震は警戒事態であり、原子力緊急事態の始まりである。

◎ ところが「指針」はたびたび改訂されて基準が緩くなり、2017年3月22日の第8回改訂では、地震と津波の対象が都道府県から市町村に縮小され、今回の地震は警戒事態に該当しない。
 熊本地震でも同じことがあった。
 もし警戒事態に該当すれば福祉施設等では避難を検討しなければならない。
 呼吸器をつけた人の移動準備などはそれ自体が危険である。
 原子力緊急事態とは、放射性物質の放出から始まるのではなく原発の存在自体が具体的危険性と認識すべきである。
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