[2023_05_04_01]動かぬ再生エネ 国内最大級のメガソーラー、未稼働のまま10年(毎日新聞2023年5月4日)
 
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動かぬ再生エネ 国内最大級のメガソーラー、未稼働のまま10年

 国の認定を受けながら稼働できずにいる再生可能エネルギー施設が全国各地で問題になっている。昨年度は太陽光発電だけでも原発6基分にあたる出力約630万キロワット分の売電権利が失効したとみられ、政府は失効の手続きを進めている。脱炭素社会を見据え、主力電源として普及が不可欠な再生エネ施設。なぜ稼働できずにいるのか。

 国内最大級も未稼働

 漁業と畜産が主要産業の宇久島(長崎県佐世保市、面積約25平方キロメートル)。五島列島の最北に位置するこの島に太陽光パネル約150万枚を設置し、出力約48万キロワット規模を発電する計画が事業認定されたのは2013年3月。政府が再生エネを普及させようと固定価格買い取り制度(FIT)を始めた初年度で、日本最大級のメガソーラーとして期待された。だが、10年が経過しても稼働できずにいる。

 地元住民とトラブル

 宇久島の計画は当初、ドイツのソーラー開発会社が主導し、14年から太陽光パネルを製造する京セラ(京都市)や地元の設備大手、九電工(福岡市)など国内企業も加わった。だが、広大な用地の賃貸契約に時間を要し、ドイツの会社が離脱。以降、スケジュールは延期を重ねた。ようやく22年末に作業員向けの宿舎が完成。現在は本格着工を見据えて太陽光パネルなどを島内に搬入している。
 設置工事を担い、事業を事実上、主導する九電工は「新型コロナウイルスの感染拡大で作業員の入島規模を抑えたため、スケジュールが大幅に遅れた。取り戻すよう努力したい」と説明する。だが、本格着工に踏み切れない理由はほかにある。九州本土と島を結ぶ海底ケーブルの設置が不透明になっているからだ。ケーブルがなければ売電できず、事業が成り立たない。
 長崎県の条例は、港湾内の工事には漁業権を持つ漁業協同組合の同意が必要と定めている。だが、佐世保市を中心とする漁協10団体は20年5月、「漁場環境の悪化」を理由に反対を表明。九電工は断続的に交渉を続けるが、「漁協の総意として設置に了解は得られていない」と事態は行き詰まりの…(後略)
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