[2023_05_06_02]地震、地震、また地震 眠れぬ夜、崖崩れ、断水…石川・珠洲は今(毎日新聞2023年5月6日)
 
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地震、地震、また地震 眠れぬ夜、崖崩れ、断水…石川・珠洲は今

 2023/5/6 11:01(最終更新 5/6 17:00)
 石川県珠洲市で震度6強を記録した地震から一夜明けた6日、各地で被災の爪痕が明らかになってきた。被災地では強い揺れが相次いでおり、避難所に身を寄せた住民らは不安を抱えながら朝を迎えた。
 気象庁によると、能登地方では最大震度6強の地震発生以降、震度1以上の揺れが50回を超えた。5日夜には最大震度5強の強い揺れが被災地を再び襲った。
 家屋の倒壊や損壊が相次いでいる珠洲市正院町。町内では裏山の崖が崩落し、巨大な岩が流れ込んだ住宅もあった。正院公民館には一時、約70人が避難し、車の中で一夜を過ごした住民もいた。
 「家にいるのは危険だと思った。避難後も細かい揺れが続き、怖くなってよく眠れなかった」。金沢市の会社員、土口茄穂さん(24)は避難所で取材に応じ、疲れ切った表情を浮かべた。
 土口さんは帰省中に被災し、相次ぐ余震に身の危険を感じて両親や祖母らと公民館に駆け込んだ。実家は地震で土台が傾いた状態になっているという。
 実家の様子を見に来た金沢市の病院事務、橋詰優子さん(41)は5日夜に12歳の長男と9歳の次男を含む家族7人で避難してきた。「余震が多くて寝付けなかった。子供たちもすごく不安そうだった」と話した。
 被災地では6日朝から雨が降り始め、家屋にブルーシートを張る住民の姿も。余震を心配し、片付けが進まない現状を嘆く被災者もいた。
 正院町で水道工事業を営む加藤聡さん(55)は、地区内の空き家の玄関をブルーシートで塞ぐ作業に追われた。知り合いの家主から依頼され、雨が室内に吹き込まないよう電動ドリルで玄関付近にブルーシートを打ち付けていた。
 「怖くて動けなかった。家が潰れるんじゃないかと思った」。町内で酒店を営む村元美智子さん(74)は地震発生時の状況をこう振り返った。
 村元さんは2階建ての店舗兼住宅で、1階の居間のソファに座っていた際に激しい揺れに襲われた。台所では多数の食器が割れ、トイレは水が噴き出して使えなくなった。余震が心配でほとんど眠れず、2階の部屋の状況も確認できていない。村元さんは「まだ最低限の片付けしかしていない。しばらく何が起きるか分からない」と声を絞り出した。
 珠洲市によると、6日午前10時半現在、地震の影響で少なくとも市内の35世帯で断水が発生。372世帯で水道水の濁りが報告されるなどしたため、6日朝から給水車が各地を巡回している。
 給水所となった若山小学校(同市若山町)には住民ら約100人が集まった。近くに住む女性(70)は「5日の夕方から水が茶色っぽくなり、かびのような臭いも出てきたので給水を受けに来た。まだ家の片付けもできていないが、水道は一刻も早く元通りになってほしい」と訴えた。【川地隆史、柴山雄太、野原寛史】
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