[2023_04_22_02]経済プレミア・トピックス 脱原発のドイツが問う「日本はなぜ原発回帰なのか」 川口雅浩・経済プレミア編集長(毎日新聞2023年4月22日)
 
参照元
経済プレミア・トピックス 脱原発のドイツが問う「日本はなぜ原発回帰なのか」 川口雅浩・経済プレミア編集長

 
 ドイツの脱原発は何をもたらすか(上)

 「アジアはフクシマを経験したにもかかわらず、中国やインドで原発が復権している。原発は二酸化炭素(CO2)を排出しないとよく言われるが、地震で原発事故が起きた日本でさえも、原発に回帰しようとしている」
 ドイツ国内で最後まで稼働していた原発3基が4月15日に停止し、ドイツは長年の公約だった脱原発を実現した。冒頭の記事は、ドイツの公共国際放送「ドイチェ・ベレ」が全基停止を世界に伝える報道の中で、日本について触れた部分だ。
 ドイツの脱原発をめぐっては、電力の安定供給や価格などをめぐり国内外でさまざまな論争があった。それでも最終的に原発を全基停止したことについて、レムケ環境相は「原発のリスクは計り知れない。脱原発は自国の安全と、さらなる核廃棄物の発生を避けるためだ」と語った。
 同放送は脱原発を果たしたドイツと対照的に「資源小国の日本は原発を再稼働させ、新設のほか、老朽原発を長期間運転させようとしている。岸田文雄首相が『原発を最大限活用する』と表明したところ、長年の脱原発運動にもかかわらず、世論調査では少しずつ原発支持が増えている」と、岸田政権の原発回帰と世論の反応に懸念を表明している。

 フランスの電力事情に配慮

 世界原子力協会によると、ドイツは11年3月時点で17基の原発があり、電力の約4分の1を賄っていた。その後、段階的に原発を停止したドイツは、国内に最後まで残っていた原発3基を22年末に停止し、脱原発を完了する予定だった。
 ところがショルツ政権はこの3基を4月15日まで「緊急時の予備電源」として動かすことを昨年10月に閣議決定した。
 この背景にはロシアのウクライナ侵攻でロシアから天然ガスの供給が不安定になると見込まれたほか、隣国フランスで約半数の原発がトラブルや点検のため停止したことがある。この事実は日本ではあまり知られていない。
(後略)
KEY_WORD:ドイツ_脱原発完了_:ウクライナ_原発_:岸田首相_次世代-原発_検討指示_: